第一章 王都への帰還②

友人宅前

ドアをノックする。

「あーい?」

「俺だ。ジレンだ」

彼はドアを開けた。

「いらっしゃい、ジレン君」

軽く頭を下げて中へ入った。

「急に済まないな、フロンタル」

「で、来たってことは何か相談があるんだね」

「ああ、まずはこれを聞いてくれ」

俺は、録音魔法ボイストゥーンを唱え、魔王デュランダルとの会話を再生した。

これを聞き終えたフロンタルは

「へえ。つまりこのまま魔王を殺すのか、それとも国を裏切るのか悩んでいるんだね」

と言った。すぐに言いたいことを察してくれて、とても助かる。

「大丈夫、すぐに占ってあげるから。

…今日もタダでいいよ」

友人という理由だけで、いつもタダで占ってくれる。それが本当に助かる。

彼は、水晶玉やらロウソクやらを慣れた手つきで用意した。

「じゃあ、始めるよ…」

彼は、指順魔法タウルセニョーラを唱え始めた。

指順魔法タウルセニョーラを使った占いは俺にもできるが、何度も繰り返し使った方が占いの精度が上がっていくため自分でやるより熟練の技を持つフロンタルにやってもらった方が良いのだ。

「……向かえ」

彼は、指順魔法タウルセニョーラを使うと、口調が大きく変わるのだ。

「王の前へ向かえ。そして魔族と和解せよ」

和解、か。

現時点ではちょっと無理かもしれないが…

彼の占いは信用できる。ここで一休みしてから国王に会いに行くか。

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