プロローグ2

あれはちょうど一年ほど前のことだった。

我は、平和主義の魔王として民から高い支持を受けていた。

そんな時だ…

お前らが攻めてきたのは…



「魔王様!溶岩地帯のマグマが埋め立てられて、サラマンダーたちが追いやられています!」

「魔王様!こちらでは海が汚染されています!ウンディーネから苦情の声が上がっています!」

「な、なんだと!?」

前々から人間どもが不穏な動きをしていると聞いていたが、まさかこれほどだったとは…

「魔王様!今こそ人間どもを討つ時です!民も待っています!今こそ挙兵の許可を!」

(我は今まで戦闘を好まない姿勢で支持を集めていた。しかし、今は訳が違う…)

我はゆっくり立ち上がった。

「皆の者!今こそ人間どもを討つのだ!」

「「オー!!」」

民から力強い返事が帰ってきた。

民の後押しで、侵略に踏み出したのだ。



そして現在。

魔王城へたどり着いた勇者によって、我は倒された。

「…そんなことがあったのか」

「ああ、無駄かもしれない話を聞いてもらって済まなかったな…」

どうやら勇者はとどめを刺す気はないようだ。

「分かった。一ヶ月待ってくれ。一ヶ月後にまた訪れる」

ああ、分かってくれたのか…

我が頷くと、脱出魔法エスケープを詠唱して去って行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る