第26話

わたしは、ごく普通の新米黒巫女。

わたしには、尊敬する黒巫女の先輩がいました。

その先輩が今妖魔と戦っています。


はっ!

ふんっ!

うりゃっ!

「こ、このままではだめだ。使いたくはないがしかたがない。私の命と平和をはかりにかけるわけにはいかない。超スーパーマドウミンを飲むしかない」


先輩、超スーパーマドウミンってなんですか?


「みっちゃん、マドウミンを!」

「あっ、は、はい」


みっちゃんというのはわたしです。

それから、マドウミンの正体は、ただのコーラです。


ごくっごくっごくっ

「きたきた~、力があふれてくる」


尊敬していた人がこんな人だったなんて。

でも、妖魔を倒すことだけは凄いんだよね。

たぶん黒巫女のなかでも、10本の指に入ると思います。

あっ、もう倒したようです。


「ふう~。今日の妖魔も手ごわかった。あいつら、どれだけ妖魔を送り込めば気が済むんだ。しかし、私は負けない。どれだけ魔物が送り込まれようと、妖魔はわたしが殲滅してみせる」


手ごわかったなんて嘘だ。

それに、妖魔を誰が送り込むというんですか。

妖魔は自然現象のようなものなんですよ。

まったく。

この、ちょっとあれな先輩の名前は神野 さち。

まあいい人なので、もう少し付き合ってやろうと思います。

それでは。


そのころ、黄泉は弱って動かなくなった妖魔を蹴り飛ばしていた。


「死ね死ね死ね~って、あれ、うごかなくなった。こら、うごけ。動けって言ってんだよ!」

ぼごっ!


妖魔は、黄泉に蹴り飛ばされて5mほど飛んだ。

しばらくすると妖魔は体を持ち上げた。


「そうそう、がんばれ妖魔。がんばれがんばれ」


こうやって黄泉は、妖魔をいたぶりつくして倒したのだった。

二人の黒巫女が妖魔を倒したころ、小夜と村正は黒巫女と向き合っていた。

目当ての吉房の太刀は手に入れたのだが、他の黒巫女たちが立ちふさがった。


「まちなさい!あんた、このままで済むと思ってんの?わたしたちを、いままでのやつらと一緒にしないでよね。あんたは私たちがここで殺してやる」


めんどくさそうに小夜は村正に問いかける。


「どうしよう村正」

少しだけ相手をしてやってはどうだ。

「う~ん、めんどくさいな。はやく吉房見たいのに」


黒巫女たちには、小夜がぶつぶつ独り言を言っているように見えた。

まあ、だれが見てもそう見えるだろうが。


「何をぶつぶつ言ってんの。切り殺すわよ。それとも、降参する気?」

「私が降参?なんで。それより、死んでも文句言わないでよ」

「そっちこそ!」


そう言うと黒巫女たちは、小夜に斬りかかる。

だが、小夜にはあたらない。

3分ほどしたころ、小夜が口を開いた。


「満足したかな。それじゃ、死なない程度に斬ってあげる」


そして、あっという間に3人いた黒巫女は、小夜に斬り伏せられた。


「早く治療すれば死なないと思うから。それじゃ」


そして小夜は闇夜に消えていった。

宿に着いた小夜は、いつものように手入れをはじめた。

刀の姿を見つめていると、小夜はあることに気づいた。


「あ~っ!」

どうした小夜!

「傷がついてる。あいつ~殺しとけばよかった」

なんだそんなことか。

「そんなことってなにっ、むらまさ!」

あ~すまんすまん。ゆるしてくれ。

「ほんとにもう。ん~と、板目肌で乱れ映り。刃紋は丁子乱れに重花丁子かあ。

さすが吉房、きれい。この刃紋は、「岡田切」に似てるかな。





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