4.彼女はそれから
僕は黒い彼女と並んで立っている。一体どういうことだろうか。今までも、確かに並んではいたのだ。一切関わることなく、黒を眺めていた。それが今では、彼女と触れる肩からも、僕の肩を地面と勘違いした空からも、黒が染みている。
「すみません、ありがとうございます、傘、助かりました。」
「ああ、いえ、気にしないでください。」
「本を読んでいたおかげで、助かりました。」
「本、面白いですか?もしかして、黒い本しか読んでないのですか?」
「気づかれましたか、そうですね、最近は黒い本ですね。だから、全身黒いんです。」
『黒い彼女』は、黒い本に従うのか。僕の中に衝撃の事実が染みわたる。
「でも、これで最後です。」
「読み終えたのですか、黒い本。」
「はい、しっかりと。」
「それじゃあ、次は一体何色になるんです?」
「黒を脱いでから、決めます。」
彼女は黒からの逸脱を宣言し、さっぱりと笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます