第4話狂人
私は狂人だ
狂った人間だ
私は他人が泣く様を見てケタケタ笑う
傷付く様を見てあははと笑う
それを思い出し更に笑う
道徳なんてないように
私は狂人だ
狂った人間だ
私は嫌いな奴を殴って笑う
私は失敗した奴を笑う
私は理不尽な目にあった奴を笑う
同情なんて知らないように
私は狂人
狂った人間
…いやいや~こう見えて人並みの罪悪感はあるんですよ~?
そんなあ~嘘じゃありませんよぉ。
え?なら何故笑ってるんだって?
笑ってないですよ?ほら、泣いてるじゃないですか?
え?泣いてない?
あれー?おかしいなあー?
…あ!そうだった!私の涙は正直者にしか見えないんだった!
ごめんねぇ、おにーさん嘘つきみたい
…ん?なんでそんなに笑顔でいられるのか?
明るいいい子だからでーす!
きゃはは!どうしてそんな辛い顔してるの?
ほら、笑わないと幸せがにげちゃうぞ!
そう私が言うと彼はゆっくり顔を上げ…
君は、まるで狂人だな…
と告げた
………全ての時間が止まった気がした
…うん、そーだよ?
私はきゃはは!と笑って自分を指差した
……私は、狂人だよ。
ただの、狂った人間だよ
…ねえ、おにーさん。
私はね?狂人なんだ。
だからまともな人間が羨ましいんだ
頭のネジが外れてない、いい子がね。
おにーさん、私、おかしいんだよ?
狂った人間なのにね、
道徳なんてないのにね?
…まだ、人並みの罪悪感があるんだ
なくなってほしいのに。
早く、早く、早く、
狂人にならないと、
…死んじゃうんだよ。
自分の罪に押し潰されちゃう。
…自殺者がいっぱいなのはね?
皆狂人になれなかったからなんだよ。
この理不尽な世界はね?
狂人じゃないと生きていけないんだ。
人を蹴落とすことが出来ない人間は、
無様に死んでゆくしかないんだ。
だから、ね。
…ミンナミンナ、狂人なんだよ!
なんて滑稽なことでしょうね!
自分が人間だと思いながらも実は狂人だという罪!
しかし、人間は、ミンナ狂人だから罰を与えられない!
なのに人間は、お互いを裁く!
うふふ、あはは、きゃはは!
身内で争うとか面白いよねー、おにーさん!
…あ、そろそろ行かなきゃ。
私の滑稽な姿を楽しみにしている狂人達がいるからね!
私みたいな狂人を見て、不良品を見て笑いたい子がいるから!
まあ、その子も不良品で、狂人なんだけど!
それじゃあバイバイ、おにーさん!
あっ、もしかして…
おねーさんだったりするのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます