第7話 恋愛モノ

私の恋は、交差点でぶつかった人です。


「一目惚れです。」


私は、ベタな小説を読んでいた。他の人の話を読んで勉強しようと思ったから。


私はベタが似合っているのがよくわかっていた。


ストーリーに関しても鼻で笑うようなことしか書けない。


電車に揺られて本を読んでいた。耳にはイヤホンを、手には本を持ってページをめくり、めくる。

私は恋愛小説より、サスペンスや恋愛だが残酷な世界を描いた本ばかり買うため、いつもの本屋のレジの人にこう言われた。


「恋愛目覚めたんですか?」


他のジャンルを知っておきたいがために買った本は勉強のため、、、そんな事言ったって、一般的には「勉強?」みたいに首を傾げられた後の説明が嫌なため。


「そんなところですね。」


そんな事を言った自分を思い出すと、変な人だなぁと自覚した。前から変だけど。絶滅危惧種。


隣の席の男性から、どんな本を読んでいるか聞かれた。

始めは、イヤホンから音楽が音漏れしてたのかと思った。肩をトントンとされたからドキッとしすぎて…

異性の意識ではなく害を与えたかと思った。


イヤホンを外して、ブックカバーを外して男性に見せると…


「ギャグ漫画と思いました。笑ってらっしゃるので…」


私はギャグ漫画気分になっていたらしい。


「そ、そうですか。ベタな世界もありだと思いまして…あはは。ギャグ漫画も好きですよ」


何を話しているんだか。


つり革を持っていた主婦ぽっい人が冷たい目線で見てくるわけもわかった。


「ベタなんて…。そこから結婚とか言うんだろ?泥沼、いや、墓だぞ。結婚。まぁ、あんたは若いからな」


なんて、言いそうな顔。


それに対して、スーツの男性は

「僕も本好きで、ジャンルを問わず読むのはいいかもしれませんね」


私と同い年くらいな男性。よく見ると、同級生に一人いる超がつくほど優しい奴に見えた。


私は目的地に到着したため、降りると…

「面白い方ですね。また、お話したいなぁ」

そう言いながら、彼は手を振ってくれた。

「ど、どうも…。私なんかより、もっといい人いますよ。」


変な会話だけど、こんな話したの久しぶり過ぎてなんだか嬉しかった。


ベタなストーリーはありえなくても、ここには無い世界でも、物語だけは変わらず大好きだ。


ベタっていいと思う。

物語って、人を、自分を、改めて見れるものだと私は思っている。

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