第2話 明日ならきっと

いつだって、私は私が嫌いだった。

実際の事を言うと「友達と話が合わない」

ところから人と話すにも伝えるにも苦労だ。

誤解ばっかり招いて、正しいも間違いも複雑に混ざり合う。水溜りを踏んだ時の土と水が混ざり合った茶色くて濁ったような色をしている。

まず、自分は女でありながら同性が嫌い。


「これじゃ、一匹狼じゃないか。」


知らないふりも出来ないし、話を合わせるところから私は受け付けない。みんなは一人が『だよね?』と言うと「そうそう」「わかる」「うんうん」と、相槌を打ち、安い同情を買う。

私なら反対の意見があって当然だと思ったからだ。そんな小さな事。


昨日までグループである筈の女の子その輪から外された時、大体私が本を読んでいるときに寄って来る。

その話という名の「お喋り」は同情という形がほしいがためだ。


「そんな事より自分の事から考えろよ。

愚痴ばっかり面白くないなぁ。」


と、私は言いそうになる。呆れた答えしか返って来ない事をわかって私に話すのだろうか。

私が優しく言葉を繋いだ。そんな言葉をその女の子にあげた。


「いっぱい言いたい事があるから何言ってるかわからないよ?一つ一つ順番に話してよ。私にはわかってあげたいけど無理みたい」


なんて、笑った事。




また、話が繋がらない。



だが、それを望んだのは『私』だ。



家に帰ると靴を揃えて本を胸のあたりで抱いてリビングに入る。

「おかえり。」

そんな日常の言葉が私は好きだ。落ち着く言葉であり、私の居場所だという事を表してくれる。


「ただいま。」


と、学校であった話をすると…母は。


「小学生らしくないなぁ。まさに大人みたいだよ。」


母に相談しても「大人みたい」ばっかりだ。

人一倍大人っぽくて、いつも友達と同じ目線

の高さで話が出来ない。


「 心を開く事が出来ない。」


そこからだ。

「明日ならきっと上手くいくよ。」

母の手は温かくて撫でられると幸せに思えた。




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