EPISODE3 新入団員

 ガチャ、ギー


「すみませーん。。。」


 誰かがきたのだろうか。珍しい。神の使いのものがたまにくるくらいだ。神の使いも年に何回かだけのペースである。多分だが、神の使いだろう。それ以外考えられない。しかも、この騎士団は、あまり人気がない騎士団のため(9つある騎士団の中でなんのランキングでも9位となるほど)、一般人が来るはずもない。


 去年の新人騎士団会(騎士団に入ってもらうための会で、欲しい人材を名指しして新人に入ってもらうイベントのようなもの)で誰も入らなかった。一昨年もその前の年も、そんなことを考えたらきりがなさそうだ。人気がなさすぎて逆に開き直るほどである。


「俺が行って来るね!」


 チロルがはしゃぎながら玄関へかけていく。


 でも、この時期の使いも珍しい。春あたりに来るはずなのだが…


「新入団員確保しました〜!」


 チロルがさっきの声の主を連れて来る。しかも、チロルの能力、風に乗って。(すごい困っている)


「え、新入団員っ!?マジでっ!?」


 キルがそう言うと寝ていたコロルやいつもは大人しいアイリスなどが一斉にこちらに駆け寄ってくる。なんて珍しいことなんだ。だって、新入団員なんてチロルとコロルとルーラックいらいから、8年位入っていないはずだ。


 仮新入団員さんは、男であった。多分であるが、イケメンというものなのだろうか?男の僕でもわかる気がするほどのイケメンだろう。身長は、180cm前後で割りと細身である。無表情顔具合からして、クールタイプのイケメンだ。この騎士団には珍しい。


「うちの騎士団に何か用でも?」


 とラビリアンが問うと、


「ここの騎士団に入りたい。。。っす。」


 と仮新入団員くんが言う。真剣な眼差しで。


「マジっすか?いいんすか?こんな弱くて変態が多い騎士団で?」


 キルは、動揺を隠しきれていないようだった。なぜか、そのセリフの中には自分の団を侮辱するような表現がある。どれだけあたふたしているのだろうか。


「変態ちゃうわっ!」


 と僕とキルとルーラック以外の4人が物申す。いつもは、仲の悪い奴らだが、こういうときだけ仲いいのか、息がぴったりである。キルの言う通り、ほんとに変な奴らだ。


「ふふっ。。。」


 さっきまで無表情であった、新入団員くんは笑みをこぼした。優しそうな表情で。


「あっ、ごめん。なさいっす。。。」


 新入団員くんは、しっかりものだろうか。ちゃんと謝る。うちの団員たちと違って。


「てか、本当になんでうち?」


 キルが問うと、


「この団は、人気がないと言われておりますが、団長の腕は強く、副団長の能力値は高い。他にも、悪魔の双子がいたり、万能な回復さんがいたり、輝きで最も有名な妖精がいたりする団ですよ!団員が少なくてもここまで戦ってる団なんて他にないっすよ。逆に人気がないのがおかしい。。」


 みんなは、あまりこんな風に言われたことがないためか固まっていた。正直こんなに僕らを見てくれていた人がいたなんて、嬉しい。何も役に立ったことがなかったのに。


「なので、ここの団に入団させてください。。。」

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