第一章 平和

EPISODE1 団



「逃げて」



 ハッとして私は目覚めた。一粒の涙がツーと僕の顔に流れ、ベットのシーツを濡らす。なんて、目覚めの悪い夢なのだろう。昔の記憶が夢の中で流れていたのだろう。忘れられないあの頃の記憶を。起きよう。起きて、何かを飲んで気を紛らわそう。


 僕は、自室から出て階段を下り、キッチンのある方向に歩く。その途中にある、窓からの景色を眺める。山奥にあるこの建物。僕は、10数年位は住んでいると思う。そのせいか、窓からの眺めは、いつもの景色と何ら変わらない。逆に、それが平和ってやつなのだろう。嬉しい、平和って言うことが。


 キッチンにつく頃には、あいつがやってくる。


「メア団長は、今日も早いっすね!」


 軽々しい声の主は、この団の副団長であり食事係担当のキル・ファーソンだ。まあ、うるさいが頼りになる団の一員だ。どこでも移動することができる空間能力を持っている。


「さすが、団長っすね!今日もいつもの料理ですか?」


「あぁ、そうするよ」


 いつものとは、目玉焼きとトーストとウインナーである。朝は、これがいいのだ。朝から体力を蓄えておかないと。


「団長、みんなを起こしてください!」


「あぁ、もうそんな時間か。わかった」


 これが僕の日課?みたいなものだ。


「おーい、みんな起きろー!!ご飯だぞ−!」


 バタバタガチャガチャ


 そうそう、この通称『死にたがり』の朝霧団には自分を含め6人と1体という、騎士団でもものすごく少ない人数で切り盛りをしている。


「もう、朝かよ」


 一人目が、朝霧団の新星である双子の弟、チロルだ。能力は、自由に浮遊ができる能力を持っていて、いつでもスケボーに乗って浮いている。(邪魔だろうと思うが、この間、キルがチロルからスケボーを取ったら殺されかけたらしい。)


「ス~。。。ス~。。。」

 ガタンガタン


 一気に来たのだが、この二人は、まぁ二人で一つみたいなものだ。小さい方と言うか大きいゴーレムの手の中で寝てるのが、さっき説明したチロルの双子の兄である、コロルだ。コロルの能力は、呪文を唱えることでゴーレムを造るという能力である。その能力で初めて造ったのがコロルを持っているゴーレム、ルーラックなのだ。初めて造ったにしてはすごすぎる。


「ふわ~、まだ眠い。。。」


 この小さい妖精は、朝霧団の中で自称マドンナのアイリス・マギアラーラだ。身長は、僕の顔くらいのデカさであるため見つけにくい。能力は、光を操る能力である。


「あら、皆さんいつもよりお早いのですね。」


 そして最後に来たのが、お色気担当のラビリアンである。能力は、回復系の能力を持っているが、普通に戦った方が強い謎な人である。あと、ナース服のコスチュームのためかなんかエロい。

 これが、朝霧団だ。皆個性が出ていて、他の団よりも目立っている。














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