PROLOG 神

 私達がこの世界に住んでいられるのは偉大な【神】のおかげなのだ。


 100年前にすべての人類と魔族や人以外との間に協定が結ばれた。神のおかげにより。だから、今では命のあるものすべてが平和の中で暮らしている。悪魔がいたとしても、みな笑顔であいさつをする。そう、これが僕らの普通世界なのだ。


 神は、能力により僕らを守ってくれている。火が使えるのは、神の能力である。水が使えるのも、神の能力のおかげである。すべてが神のおかげである。だが、この能力に反対する者が現れた。たった一人であるが。そう、そいつがじきに神になってしまった者なのだ…。


 なぜ、神が殺されたのか、私達は皆はわからなかった。神は、偉大な能力を持っていたのにも関わらず。だが、神は死に間際にそのすべての能力を開放し、人類に能力を与えた。それが、まちがいだったのかもしれない。




「さあ、永遠の戦いを始めよう。そう、この能力を使った戦いを。」




 二代目【神】が残した言葉である。

それまで、平和であった国が変わっていった。

笑顔に溢れていた街も、何にも染まらなかったあの空も、すべての世界が変わりに変わりきってしまった。平和という文字も汚く醜くなっていった。


戦いたくない。あの頃に戻りたい。怖い。死にたくない。なんて、思いながら目をつむって、明日の平和を願う幼い少年なのだ。





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