Episode:Ⅲ 不穏
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ! くッそ、終わんねェんだけどッ!」
『叫んでも
「うッせ、蛇じじぃは黙ってろッ! つーか、
「鬼狩さんならさっき河、流れてましたよ?」
「またか、あの莫迦!」
「
「あれ? あげた筈ですが……??」
机上の書類量に悲鳴を上げた男性がキレながら何処かへと姿を消した。恐らく“鬼狩”と呼ばれていた人物を呼び戻しに行ったのだろう。
もぐもぐと肉まんを頬張っている少年に黒色の蛇、フードに覆われた性別不明の人物、水槽には白色のウーパールーパーが泳いでいる。
少年が首を傾げながら蛇とフードを見て問う。
「そう云えば“夢視”さんは?」
『
「醒め初めは誰だってンなモンだろう。“秘路”殿とは違うんだ」
「
「俺は声が出なくなった位だ。その間は不便で仕方無かった」
「僕も身体に力が入らなくてすっごい困りましたよ。“異才”持ちって皆体調崩したりするんですか?」
「ほんのたまに気付かない奴ってのは居るな。あとは“秘路”殿みたいその時依代が違う奴はならない」
『儂のような場合はそう無いの。儂のような例ははっきり云って“例外”じゃ』
水槽内のウーパールーパーがゆっくり尻尾を揺らした。
少年──名は仁棲
「肆ヶ峰さん、鬼狩さんの相方するの大変ですね〜…」
「ま、良いんじゃないか? 何気に息の合う漫才コンビだしな」
「伽羅紅さん、それ褒めてませんよね……?」
「なんの事だかな?」
伽羅紅と呼ばれたフードが口元に微笑を浮かべ肩を竦めた。
その隣で“秘路”はとぐろを巻き、寝る体勢を取る。
優は積み上がった書類を幾つか自分の
その時は誰も、不穏な影が街に近付いているとは知らなかった。
“夢視”が視た、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます