何度でも立ち上がる男
子羊
この想いよ、 届けー!
恋すると人は変わるというけれど、そんな経験とかあるか? 俺も恋をして人生が変わったその一人だ。まあ、ちょっとヤンチャしてたが、普通の学生だとは思う。うん。
俺の自己紹介は以上っ!
え? 名前とか教えてくれって? いや、どうでもいいだろう。そんなことより俺の好きな人の話を聞いてくれ。
聖子さんっていうんだ。飲食店のバイトで、客として来ていた聖子さんにめちゃくちゃアプローチした。そして名前と電話番号を教えてもらったわけ。ちなみにOLな。
ん? 好きな所か。一番好きな所はうーんたくさんあるが、強いて言うなら髪だ。茶髪でフワフワしていて、めちゃくちゃ可愛いんだよ!
今日はたまたま公園で、聖子さんに会った。私服ですげー可愛かったんだけど、やけに暑そうな服を着ている、オシャレってやつだな。
それに、邪魔な豚がいた。太って不細工な奴、全然聖子さんとそれが、釣り合ってねーの。
多分、荷物持ちだろ。あれ? あいつなんかモジモジしてね?
「せ、聖子さん! 聖子さんの事が好きです。付き合ってください」
「いやいや、俺の方が好きだから! てめぇ、ふざけんなっ」
聖子さんは茂みから出てきた俺に驚き、可愛い口をあんぐりと開けている。
「うるさいっ、あんまり大きな声出さないでくれない」
「「すいません」」
「私に何かプレゼントしてくれたらいいわよ?」
あんなやつにチャンスをくれるなんて、なんて慈悲深い神だろうか。最高です!!
よし、俺も聖子さんにプレゼント用意しとこうっと。
そして、一週間後。
これで準備満タン。モテモテテク第15条 女性のプレゼントは花束を渡すべき。
これで完璧だ!
「あの、聖子さん。これ、花束っす。受け取ってください」
「聖子さん。高級ブランドの石鹸です、どうぞ」
なんだと、石鹸だと。俺の好きな香りに包まれな的な!? しかも高級ブランド、流石大人だ。
「はあああ、全然駄目よ!! 馬鹿じゃないの?」
「えっ」
「じゃあ、帰るわ。バイバイ」
そう言って、聖子さんは颯爽と帰っていった。カッケーな、おい。
振られた俺たちは、何も言わずその場を後に……しなかった。後を追った、俺だけは。
納得がいかねーよ、全然。あんな下心満載のプレゼントより、こっちの方がいいに決まってるだろう。
「はあー、なんだろう。最近、寒気が止まらなくって」
そう言って、腕をさする聖子さん。そんな寒気、俺なら暖めてやるのに。
「しかし、さっきの最悪なプレゼントよ。この前までは駄犬が……私のために、必死に……」
聖子さんは、悲しそうな顔をする。その顔を見て俺は悟った。
駄犬か、そいつは幸せだな。聖子さんにこんなにも想われて。
「ちょっと、そこのお嬢さん?」
近くには、私しかいない。
「何ですか?」
「わしは、霊を見れる。霊媒師というやつだ」
霊媒師? そういえば、この人テレビで見た事があるかも。
「あんたの頭の上に、想いの強い霊が乗ってるね。危険だ、物凄い怒りを感じるよ」
何度でも立ち上がる男 子羊 @kamm1214
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