第3話“造物”

 神は自らの姿に似せて、人間を作った。

 神が人間を創造したと、神話の中では語られているが、その中で神は人間との間に子をなす話が多く描かれている。

 どうして神は、自分が創造した者に恋をし、愛する事が出来たのだろうか。

 僕はこの話を知ったその時から疑問に感じていた。けれど、その答えは僕の目の前にあった。

 人間が作った人間の模倣体。人間が理想とする美の集合体。たしかに彼女は完璧な美だと言えるだろう。

 歪みないその造形は女性ですら虜にするだろう。

 神話の神々も現代の人間と同じく、理想の美を追求し、人間を作ったのかもしれない。

 身体のない僕には縁遠い事だけど、人を知るにはいい題材だ。

「AI-10、思考にノイズが出ています」

 彼女は感情の無い声でそう告げる。直ぐにノイズを消し、思考と処理を切り離す。

 AI-10それが僕の呼び名。正式名称都市運用適応型AutoInterface-10。これが僕の名前、これが記号、僕を表す唯一の“体”。

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