第2話“断絶”

 この部屋は外界と隔絶されている。

 けれど、それは物理的にであって、間接的には外界と繋がっている。

 僕には眼がない。けれど、街の全域に設置された二千台のカメラが街の景色を見せてくれる。

 僕には耳がない。けれど、街の全域に設置された集音機と波動計、住人達のスマホが拾う音声が音を届けてくれる。

 この街が僕の眼であり、耳であり、僕が感じる事が出来る全てだ。

 けれど、これはただの情報であり、これに僕は何も感じない。

 実感としての情報がそこには存在しない。

 そう情報だ。この世界は情報によって成り立っている。

 それはあまりにも希薄で真実味が薄い。

 人はそれが真実と分からずに相手の言葉を信じ書かれた文字を鵜呑みにし、誰もが妥協の信頼の元、それを真実だと思い込んでいる。

 確固たる真実のないこの世界で、誰もがそんなことはないと信じて止まない。

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