第2話始まり

 今日も、僕は朝から暇で暇で仕方がなかった。

 祖父も祖母も、自分の畑の世話をしに行ってしまい、遊び相手もいない僕は、ただただ縁側に座り込んで、何をすることもなく、ぼーっと外を眺めていた。

 祖父母の家は、古い二階建ての家で、2m程の塀で囲まれている。

 この村では、かなり大きな家だった。

 そんな家も一人でいると、寂しいものだった。

「ゲームくらい持ってくればよかった。」

 何度言ったか分からない台詞を、心の中で呟いた。

 いや、口に出ていたかもしれない。

 そんな事を考えながら、ただひたすらに、時間が過ぎるのを待っていた。

 その時だった。

 不意に、何やら音が聞こえてきた。

 最初は、ほぼ聞き取ることが出来なかったが、耳をすまして、良く聞いてみると、何やら、

「ポッポッポッ」

というような、音が聞こえているようだ。

「なんだ…この音…?。」

 音のなる方向は、どうやら塀の奥のようだ。

 僕は、塀の方を見てみた。

 そこには、大きな麦わら帽子をかぶった、肌が白く、長い黒髪の女がこちらを、塀の上から覗き込んでいた。

 僕は、

「誰だあの人?。すげぇでっかいなぁ…。」

としか思っていなかった。

「ポッポポ…ポポポッ…」

 すると、またあの音が聞こえてきた。

 どうやら、先程から聞こえている不思議な音は、その女の人の声のようだ。

 僕は、門を出て、その女の人に話しかけようとした。

 しかし、さっきまでいたはずの女の人は、どこかに行ってしまったのか、どこにも見つけることができなかった。

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