秋が近づいたある日

 キャンプ以来、職場環境がとても良くなった。

 第2班は定常部の小野田サブリーダーがリーダー代行として着任し、社長監視の下改善を図る事になった。

 ウェブカメラが設置され坂本元リーダーがさぼっていないか、ちゃんと会社に来ているか、パワハラをしていないか、社長がスマホで室内の様子を見る事が出来るようになった。

 その為第2班の労働環境が圧倒的に良くなり、美月さん達も23時半には帰れる様になった

 それでも私は美月さんのアッシー君を3日に1回は続けていた。

 坂本リーダーが平になったので、1班の孝井リーダーに車通勤の許可をお願いしたら何の問題も無く許可になったのだ。

 本当に環境は良くなった。

 しかし中々美月さんとの距離は縮まらない。

 ロードスターから降りる時、何度も何度も自分の気持ちを伝えようとした。

 ほんの少し、ほんの少しの勇気がどうしても出てこない。

 美月さんを送り届け、その後姿を見送りロードスターを走らせている度に思う。

(今日もダメだった)

 そう思いながら夜中の街を走り抜ける。

 しかし、その日の夜空は月が見え始めていた。

 

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