第3話

ダイエットの煙が立ち上った。京符と伊里はマンションの部屋で扇風機を回していた。その煙を吸うと肥満細胞が減る。

「痩せっぽちが多いね」と伊里。「猫を飼いたいね」と京符。

少し夕方になると味噌汁の具の中から貝が飛び出した。京符のマンションは壁が真っ赤に染まっていた。まるで大惨事。

穴があった。海に続く穴が。伊里は足を突っ込んだ。伊里が産む海は赤い。京符は赤昆布を「美味い、美味い」と食べている。

既都は樽の様な身体をしている。「おまえもダイエットしろよな」と京符が言った。「栗の剥き方に性格出るよ」と既都も負けてない。

海の中から雪が出てくる。伊里の靴下の中からも。

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