第372話 PS・横須賀ストーリー…2

「ほら、あんたたちの【ネイビーパーカー】と同んなじよォ~……!!」

 ユリアンが微笑んだ。

 やはり母親の顔になっていた。


「え……❓❓」

 ネイビーパーカーと同じ……


「結局…、色々な事があっても、なンとかなったじゃない!!」


「ハッハ、若かったからねェ~😆🎶✨

 あの時は!!」

 ゴンちゃんが笑った。


「そ、勢いだけで、つっ走ったって感じ~…!!」

 サンタもつられて微笑んだ。

「うん、若気の至りってヤツねぇ~!!」

 私も……


「あんたら、ねェ~……! 私の前でよく言うわよ!! 今だって、私に比べたら全然、若いじゃン!!

 もォ~、憎ったらしいくらい若いわよ!」


「ハッハハ…! ユリアンもまだまだ若いって!!」

 ゴンちゃんも笑顔だ。

「そ、見た目は、ウチらと変わらないって」

 フフン、と鼻で笑った。


「ッで、イチゴ! どうすンの!?」

 ユリアンが訊いた。

「え……❓ 何が……」


「何、イチゴ!? マジでネイビーパーカーやる気……」

 ゴンちゃんが肩を組んで脇腹を突っついてきた。


「ちょっ、突っつくなよ……」

 私は身体をよじった。

「ン~…、どうしようかと思って…、一応、あれからも予約販売だけしてて……

 今、千枚突破してさぁ!!」


「スッゲェ~~😆🎶✨」

 ゴンちゃんは大袈裟に驚いた。

「たった150枚、完売すンのに、ドブ板通りで恥ずかしいダンスしたって言うのにィ……!!」


「まぁね。だって、フジテレビでドキュメント風にドラマ化したのが大きいよ。あのあと予約が殺到して、さぁ……😅💦💦」


「ああ、あれが放映された時は、スッゲェ~反響だったな」 

 ゴンちゃんも嬉しそうに目を細めた。


「ねぇ! あのドラマじゃ、私、全然、出てないよねェ~……」

 ユリアンが口を尖らせた。


「だって、ユリアン関係ないじゃん……」

 サンタが冷たく突き放した。


「え~…… 何、それ、私もメンバーでしょォ~~!!

 ねぇ、イチゴ!!」


「え、どうだっけ」

 ゴンちゃんを見た。彼女も、

「さぁ……?」

 サンタを見て肩をすくめた。

「メンバーなの…… ユリアン……?」

 サンタも首を傾げた。


「えぇ~…、メンバーでしょ。

ドビ板通りで歌ったじゃない!!」


『横須賀ストーリー!!』

 全員でハモった。


「ハッハハ…!!」

 みんな良い顔で笑っていた。


「安心して、ユリアンもメンバーよ!!」

 あたしは肩を抱いた。


「良かった~! 私だけ、ハブにされるかと思った……」

「フフ…、ユリアンがあの企画を持ってきてくれたから、ネイビーパーカーが出来たンじゃない!!」


「そうね。なんか、やっぱ、ひとつひとつの偶然が積み重なって、『パーカー』って【形】になったのね」


「うん……」

 運命って言うと大袈裟だけど、何か、ひとつでも欠けていたら【ネイビーパーカー】はなかった。

 






 

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