第368話 凱旋

 横須賀中央駅への帰り道、アーケードをくぐって行くと、まるで凱旋パレードのように晴々とした気分だ。

 

 メンバー全員、満足げな顔をしていた。

「フフ、どう…… イチゴ!!」

 ユリアンが私の横で意味深に笑った。


「どうって……」

「最後まで反対してたじゃン。

 ネイビーパーカーはダサいって!!」


「そりゃぁ…… オヤジギャグだしね」

「フフ…、っで、終わった今は、どういう心境かな!?」


「フフ、決まってンじゃん!! 

 最高よ!! 最高のメンバーに巡り会えたンですもの!!」

 ゆっくりと、みんなの顔を見回した。


 この半年、色々な事があった。

 衝突した事も…、喧嘩した事も……

 でも、今では全部、たのしかった『想い出』になった。


「ねぇ、平坂ひらさか のぼって、図書館の坂道で、夜の横須賀を見下ろさない」

 ゴンちゃんが提案した。


「え~…、ムリムリ。あの坂を昇る気力はないよ……!!」

 ニコが首を何度も振り嘆いた。


「良いじゃん。行こうォ~!!

 🎵……こ💟っきり🎵 こ💟っきりィ~ですかぁ~~~…🎵」

 私は、妙にハイテンションだ。


『🎵急💟坂道ィ~🎵 駆💟昇ったらァ~🎵

 今💟海が見えるでしょうか~ーーー🎵

 ここは、横💟賀~ーーー🎵』

 最後は全員で合唱した。


 道行く人たちは、何事かと目を見張った。

「ハッハハハ……!!」

 揃って爆笑だ。


「もしかしたら、このメンバーで昇るのは、これが最後になるかもしれないじゃン!!」

 駅の横にある平坂を見上げた。

 かなりの急な坂道だ。


「えェ~!! マジで、ここ昇るのォ~?」

 ニコは、まだ納得してない。


「どうしても途中棄権したくなったら、イチゴにおんぶして貰いなよ!!」

 サンタが冗談まじりに言った。


「無理だよ。ニコをおんぶしたら、私だってリタイアだよ!!」




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