第366話 完売❗❗

 何度も、繰り返しリフレインしていった。

 ウチらも必死だ。

 息はあがって汗が滲んできた。

 時折り吹く冷たい風が肌に心地よい。


『🎵…急💟坂道、駆💟のぼったらァ~🎵

 今💟海が見えるでしょうか~🎵

 ここは、横💟賀~ーー🎵』

 ユリアンもライブのようにマイクを観客に向けあおっていた。


 仕舞いには周囲の観衆も全員で合唱だ。

 さすが横須賀で、この曲を知らない人は居ない。

 

 こうしてパフォーマンスも無事終了し、拍手と歓声が響いた。


 息も整わぬ間にユリアンがマイクを勧めてきた。

「はい、イチゴ! 最後はあなたが挨拶なさい……」

「え? わ、私が……」

「これは、貴女あなたたちの『ネイビーパーカー』でしょう…😆🎶✨」

「ええ……」そうだけど……

 振り返ってゴンちゃんやサンタを見た。

 みんな、私にどうぞとジェスチャーしてくれた。


 仕方なく私はマイクを取り最後のアピールをした。


「皆さん、本日は、寒い中、ありがとうございます。

 実は私たちは、この『横須賀ネイビーパーカー』を販売するのが目的で、今の歌を歌って踊りました❗❗❗」

 メンバーたちが各々、着ているパーカーをアピールした。

 私は、フッと微笑んだ。


「宜しかったら、記念に一枚、お買い求め下さい…☺✨💕💕」

 深々とお辞儀をした。


 誰よりも早くショーリがパチパチと拍手をしてくれた。


 つられて、次々と拍手が巻き起こった。

 今度は、メンバー全員で目配せしお辞儀をした。


「よ~、ネエちゃん…… 俺もY高校出身なんだよ!!」

 さっきの赤ら顔のオジさんが声を掛けてきた。


「あ、どうも先輩ですか……」

「幾らなの? そのパーカーって」

「はい、4300円です」

 ゴンちゃんが応えた。


「オォ~、まぁ、じゃ、お姉ちゃんと同じヤツ、貰おうか!?」

 オジさんは私を指差した。


「はい、グレイですね。ありがとうございます」

 その後も、次々と売れ、ついに完売になった。

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