第365話 お祭りのような

 近くのカラオケ店の店長がマイクを貸してくれた。


「ねぇ、ユリアン! 歌ってよ。私たちが踊るから!!」

「え~…? 何よ… 私が……」

「頼みます。先生!!」

 全員で拝んだ。


「フフ…、こういう時だけ、先生ね……

 ったく、じゃ、わかった。私が歌うわ」

 何となく押しきり、ユリアンがマイクを持った。


「え~、ご通行中の皆様!!

 私、Y高校で彼女たちの担任をしております。

 ユリアン、独身、彼氏募集中です!!」

 

「え……?」街頭演説か。

「おいおい、ユリアン!

 彼氏募集は良いからァ~ー!!」


「わかってるわよ!! それでは、皆様、『横須賀ストーリー』お聴き下さい!!」

 かしこまって、お辞儀をした。

 周辺から拍手がパラパラと巻き起こった。


 ウチらメンバーも位置に着きスタンバイ・オッケーだ。

 アイコンタクトで頷き合った。


「せェェー~ーーーの❗❗❗」

 ショーリがコールした。

「🎵こ💟っきり🎵 こ💟っきり🎵 こ💟っきり🎵 こ💟っきりィ~ですか~ーー🎵」

 ユリアンの歌に合わせ、ダンスを踊った。


「はい、はい、はい、はい🎶😆🎶✨」

 ショーリが、手拍子とコールを送った。


 観客たちも釣られて手拍子をした。


「ヒューヒュー😆🎶✨💕」

 と歓声も聴こえた。

 徐々に一体感が生まれた。

 ドンドン、観衆が増えていった。


 夕暮れのドブ板通りは、まるでお祭りのような賑わいだ。





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