第364話 ユリアン

 段々とメンバーの振りも揃ってきた。

 通行人も立ち止まり、ウチらのパフォーマンスを応援してくれるようになった。


 酔っぱらっているのか、50歳がらみのオジさんが、赤い顔をしてショーリに訊いてきた。

「よ~、このネエちゃんたち、どこの女子高生ェ……?」

「全員、Y高校ですよ」

「ウソ? 本当に~…!?

 頭良ィ~じゃん❗❗❗」

 この地元横須賀ではY高校と言えば、知らない人のいないくらい偏差値が高い。


 身体もったまってきたので、コートを脱ぎ、上はパーカーになった。

 制服のスカートは、日本一短いと言われるミニスカートだ。

 

「みんなァ~ー~…!!」

 その時、不意にアニメ声で呼ばれた。


 列の後ろの方から童顔で中学生くらいにしか見えない女性が手を振った。

 ウチらの担任教師のユリアンだ。

「あ! ユリアン!!」

 全員の顔が和んだ。

「何よ。ダンス・パフォーマンス…?」


「呼び込みだよ!!」

 ゴンちゃんが応えた。


「何、こ💟っきりィ~🎵で、お仕舞い?

 売り切れェ……?」


「違うって、後、20枚くらい売れ残っちゃって」

「ユリアンも何枚か買ってよ」

「そうそう!!」


「え~? だって、4300円でしょ!! 

 今月ピンチなのよ!!」


「良いじゃん。彼氏の分と二枚どう?」

 私が冗談を言った。

「イチゴ~!! 私、彼氏いないンだよね。知ってるでしょ!!」

 睨まれてしまった。


「ハッハ、ジョークよ。ジョーク!!」







 



 



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