第341話

「待ってよ!!」

 それまで黙って聴いていたサンタが声を発した。

 みんなの視線がサンタに集まった。

「イチゴだけ、責めたって筋違いよ。

 もっと早く商標権を調べておけば、こんな大問題にならなかったはずじゃない!!」


「そりゃぁ…。解ってるよ。」

 ゴンちゃんも頷いた。

「イチゴの方が正しいって……。

 でも…、実際問題、ここまで仕入れや経費だけでもかなりの額になるのよ!!」


「別に、儲けたいワケじゃないけど……、

 借金だけは勘弁してよ。無理言って、親に借りて工面したンだから……。」

 ニコ。

「そ、みんな親に借りてパーカーの仕入れに回してンじゃん。」

 ゴンちゃん。


「うゥ…ん……。」

 私も顔を伏せた。

 みんなの言う事がわからない訳ではない。

 だけど……。

「ふ~~~……!!」

 正論が通らないもどかしさにため息をついた。


「フッハハハ……!!」 

 不意に、背後で聴いていたショーリが笑い出した。

「え?」

 全員が、一斉に彼を見た。

「どんなに、みんなが反対しようと、イチゴは譲らないよ!!」


「な…!!」

「イチゴは自分が正しいと思ったら、絶対に譲歩しないから!!」


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