第35話

「あァ~、もうムカついて全然、頭が働かないよォ~ーー❗❗❗」


「どうしたよ。優等生❓❓」 


「あのなァ~、優等生ッて呼ぶなァ~❗❗」

「な、なんでェ……❓❓」


「ショーリに優等生ッて呼ばれるとバカにされてるみたいだろォ~❗❗」



「してねぇ~よ。バカになんか❗❗」

 ショーリはいつも笑顔をやさない。


「あァ~、こっちは、もうお母さんが再婚するッてだけで、パニックなのにィ~❗❗」



「落ち着けッて…… じゃ、何か、飲むゥ……」

 勝手にキッチンの冷蔵庫を開け、中を確かめた。



 やがてグラスに入った氷がカランカランと渇いた音を奏でた。




 点けっ放しのテレビからは妙に明るいCMソングが流れてきた。


「ほい!」

 リビングへ戻ってきたショーリが私の前にアイスティーの入ったグラスを置いた。



 私は大きく息を吸い込み、一気にグラスを傾けた。

 コクコクと咽喉が鳴った。



「おおォ~ー~ー!!」

 ショーリは少し驚いたようだ。


 私は、口許に垂れそうになった雫を無造作に手の甲で拭った。



「フ~ーー!! あったま、来たァ~!!」

 まだ私の怒りが収まらない。



「えェ……? まぁまぁ、イチゴ姫ェ……

 カッカッなさらず、落ち着いてェ……」



「はァ~、誰が、イチゴ姫よォ~ーー❗❗

 あ、そうだ❗ 今から海へ行こう❗❗」



「え、海ィ~……❓❓ 何で、また急に❓」

「海水浴よ❗❗ 決まってンでしょ……」



「いやいや、決まってねぇ~だろ❗❗

 だって、もうすぐ夕方だよ。

 九月だし、シーズンオフじゃン❗」


「大丈夫だって…… ママチャリでビューンだよ❗❗」

 手で海岸線を突っ切るようなイメージだ。



「ビューンッて、何だよ……

 どこまで行く気……❓❓ 三浦海岸なんて、絶対、無理だぜェ……」


「そりゃ、走水海岸はしりみずだよ」


「いやいや、無理だッて、走水までなんて、車ならすぐだけど、イチゴのママチャリじゃ、どんだけ掛かると思ってるんだよ❓❓」


「平気だよ。ダイエットも兼ねて、片道、三十分だから❗❗」



「ッて、行って泳いで帰りは、絶対、夜になるじゃん❗❗」





 ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆



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