桜子~10~
「何してたんだ」と聞かれた朔は「色々あった」と答えている。この様子じゃ私が話しかけられる暇なんてない。
「うーん……」
困っている私を見た八重ちゃんは、ドヤ顔でこう言った。
「今日デートしない? って聞けば、すべて解決じゃない?」
「それのどこが解決なの」
どうやら、そう言えば周りがひいてくれるし、朔とも話せるし、デートも出来るから一石三鳥くらいらしい。
「えぇ、それじゃあ、なんか違わない?」
「大丈夫」
そう言ってグッと親指を立てる八重ちゃん。ここは私も決意するしかない。
ゆっくり朔の元へ歩いていく。
「あ、桜子どうし……」
気が付いた朔は話しかけてくれるが、言葉の途中で私は話し始めてしまう。
「朔、今日私とデー……」
そう言いかけたときに運悪くチャイムが鳴ってしまう。
みな口々に「先生来ちゃう」と言う中、「どうした?」と聞いてきた。
「あ、いや授業始まっちゃうからあとで良いや」
結局言えずじまいだった。
その後も何かと自分で理由をつけては、朔と話さずに過ごし放課後になってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます