桜子~9~

 授業終了のチャイムが鳴る。


 ようやく終わった。宿題は間違っているし、そのあとの問題も間違うし、こんな高校三年生で大丈夫なんだろうか。数学だけ極端に酷い。


「桜子、ノート見つめて何してるの? 数学は終わったぞい」


 八重ちゃんが奇妙な物を見る目で見てきた。


「んー、ほら正答率が酷いなって思ってさ。今の時期こんなんでいいのかなぁって」


「考えるのは大事だけどさ、それは入試までにどうにかすればいい話じゃん? 今すぐ大事なのは朔のことなんじゃないの」


「なんで朔なの!」


 八重ちゃんはニヤニヤしながら朔を指差した。何かあったことはお見通しだという風だ。


「もう分かったよ」


 と言っても、朔は他の人と話していてなかなか話しかけるタイミングがない。タイミングを窺っている間に次の授業が始まる時間になってしまう。


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