朔~6~

 確実に間に合わない時間に起きた俺は慌てて仕度をしていた。


「起こしてくれるのはいいんだが、何でまたこんなに時間なんだよ。もっと早く起こしてほしかった」


 そう独り言を言いながら、前日に用意していなかった教科書を詰める。こんな時に限って学校に置いておかなかった事を悔やんだ。


 制服を着て鏡を見ると、直すのに時間がかかるであろう見事な寝癖がついていた。水をつけて伸ばしてみるがすぐに戻ってしまう。


 鏡で確認しながら寝癖と格闘していると、制服に丸い埃がいたるところについていることに気が付いた。


「なんでこう次々問題が出てくんだよぉぉ」


 埃は取れても、寝癖は直らない。


 諦めよう、そうしよう。


 とにかく、もう朝礼は始まっているし授業にも間に合う時間ではないが、桜子と話さなければいけないから俺は学校に行くぞ。


 そして俺は家を飛び出した。



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