桜子~6~

 学校に着いた。まだ朔は来ていない。


 友達の八重ちゃんに「その隈どうしたの?」と聞かれ、ちょっと夜更かししちゃってと半分当たりの返答をし、消してあげるとトイレまで連れてかれた。


「先生にバレなきゃオーケーよ」


 そう言うと持ってきたポーチから、肌色の液体が入った物を取り出した。


「何それ? 怪しいもの?」


 知らないのかと驚かれ、丁寧に説明されたがよく分からなかった。とにかく、こんしーらーというもので肌のいらないものを消すという化粧品らしい。


「ほら、塗ってあげるから動かないでね」


 動かないように棒立ちになっていると、目の下に液を塗られた。


「ねぇ、これ本当に大丈夫な液体?」

「決して怪しいものではございませんぞ。メイクしてる人は使ってたりするものですぞ」


 変な話し方をしながら、私の隈を消してくれた。


「ほい、出来た。これで目立たないよ。まぁ、朔に心配されたいんなら消さないほうがよかったかもしれないけど」

「さ、朔は別に何も関係ないから! 八重ちゃん、変な誤解しないでよ」


 そうかそうかと言いながら頷き、八重ちゃんは去っていってしまった。絶対に隈が朔に関わることで出来たと分かっている。それにしても、あの隈が変な液体のおかげで全く見えなくなっている。すごいなぁ。さて、教室に戻ろうかな。


 教室に戻っても、朔はまだ来ていなかった。もう少しで朝礼なのに来てないってことは、休みなのかな。今日会えないかもしれないんだ。会いたくないけど、会いたいなぁ。




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