朔~1~

 やってしまった。どうしてあんなことを。

 いや、そりゃ今までの恋愛話をしてはいたが。なぜ言わなくてもいいことを言ってしまったのか。


 言ったことは間違いじゃない。それでも経験の有無は今必要なもんじゃないだろう。


 あぁでも、桜子が引いてなくて助かった。笑われているだけならまだマシだ。引かれたらそれこそ本当に終わりだった。好きな奴に引かれるとかどうしようもない。


「いつまで笑ってるんだ。なんだよ」

「いやぁ? なんでもないよ」


 本当の本当に笑ってて良かった。


 だが、このままでは話を変えなければずっと笑われたままだ。


「桜子、お前だって何の経験もないんじゃないのかよ」





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