幕間Ⅰ 微睡みの夢

 暗く冷たい海の底。私の口からは泡がこぼれるのに、なぜか呼吸ができる。


 そんな世界を、私は薄ぼんやりと知覚していた。


 沈まず、かといって浮上することもなく私の身体は漂っており海面を見上げる――仰向けのような姿勢だ。身体は意思の通りに動くものの動かしているという感覚がなく、視界も周りに白い靄がかかったかのように狭い。


 そこでようやく、私は微睡みの中にいるのだと理解した。


 私はいつ寝たのか。寝る前は何をしていたのか。今はいつでどこにいるのか。


 色々な疑問が頭を駆け巡るが、重たい頭は答えを出してくれない。


 そうして、一秒にも数日にも感じる矛盾した時間感覚を経て、私の体が海面へと浮上していく妙な浮遊感を覚えた。


 海面が近づくにつれ、世界は白く輝き私の身を包む。


 眩しさに手をかざしながら目を瞑ると、ふわりとした世界を感じる。


 そのまま私は目を覚ました。

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