第3話
「杉山さん、一瞬いいですか?」
「佐原さん、いいけど。どしたのよ?」
杉山さんは職場の先輩だ。契約社員さんなので会社は違うが、この案件に着任して5年のベテランメンバー。
そしてM県の出身者でもある。
「すごい変なこと聞きますけど..」
「おう、どうぞ」
「M県の高校って、保険の授業でセックスのこと教えます?」
わかっていたけど怪訝な顔をされた。ちょっと信頼を損ねたな...
「それは普通に教えるんじゃない?佐原さんの質問の意図がわからない」
「いや、石田くんがM県の保険の授業がかなり先進的だって言ってたので、そんなことあるのかと思って...」
「んー...よく分からないけど、普通に教科書に書いてることを読んだりしたんじゃないかな。質問の答えになってる?」
「あっ、大丈夫です。わかりました。ありがとうございます。お引き留めしてすみませんでした」
「はーい。お疲れさまー」
もっと練ってから質問すればよかったけど、とりあえずM県の風習ってことではなさそうということがわかった。
ググっても情報が出なかったから裏を取った形になったわけだ。(っていうか常識的に考えてそうだろう)
そうなると、保険実技のセックスの情報が少ないことについて以下のような理由が考えられる。
抜け漏れなく洗い出したいので、5W1Hで揃えてみた。
1. M県で特定の区分(地域や学力の強化指定など)に属する高校だけのカリキュラムである(Where)
2. M県である期間だけ実施されたカリキュラムである (When)
3. 特定の生徒だけが対象のカリキュラムである (Who)
4. 情報が伝わりづらい方法で実施されるカリキュラムである (How)
5. 情報を伝えるのが憚られる理由のあるカリキュラムである (Why)
Whatはカリキュラムそのものだから今回は無視していいだろう。
改めて書き出すと保険実技の正体を突き止めるのは難しそうだったが、その方が調べ甲斐があるというものだ。
保険実技 @sour
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