第102話  再登場のお約束


 地響きを立てながら暗く大きな穴から姿を現したのは、それもひとつの大きな穴だった。

 朝日を飲み込むように開いた穴から、城をも飲み込む巨大な咢が姿を現す。


「『大地喰いランドスウォーム』……」


 レイアの口から絶望と共にその正体が知らされる。

 村一つを容易く飲み込み、山をも崩す災害級の魔物。九郎とベルフラムを飲み込み、僅か数か月前にレイアに絶望を齎した巨大なミミズの化物が、穴から這い出ようとしていた。


「『小鬼ゴブリン』はあいつから逃げて……」


 ベルフラムが、炎の壁を避け、闇雲に『ここでは無い何処か』へ向かおうとしている『小鬼ゴブリン』達を見下ろしポツリと呟く。


 考えてみれば奇妙なことだったのだ。

 ベルフラムと九郎が40日以上も彷徨い歩いた『大地喰いランドスウォーム』の入り口・・・が、大きな街の直ぐ傍に開いていた事に疑問を持つべきだった。あんな巨大な魔物が、街の郊外とは言え半日の距離に姿を現し、誰も気付かないはずが無く、また入り口以外に被害の跡が無かった事を疑問に思うべきだった。


 都合よく開いていたベルフラムが冬の・・・・・・・・間過ごす街の近郊・・・・・・・・に開いていた入り口・・・・・・・・・

 九郎が溢した通り、あの『大地喰いランドスウォーム』が、最初に雄一が仕掛けようとしていたマッチポンプだったのだろう。


(後ろは崖……前には災害級の魔物……どうすれば……)


 恐慌をきたしているのか、『小鬼ゴブリン』達は、山道を逸れ、切り立った崖へと自ら身を投じていた。その表情に冷静さは全く感じられない。自らの命を惜しんで、自らの命を失くす行為は、狂気と言う他無い。同じ穴から湧き出てきた事から考えるに、彼等は撒き餌と言ったところか。

 雄一は『大地喰いランドスウォーム』を操る事は出来ないのだろう。

 どれだけ大きくても『大地喰いランドスウォーム』はミミズの魔物に変りは無い。目が退化している可能性が高く、街にいるであろうベルフラムのピンチを演出しようとして、誘導できなかったと考えると説明がつく。


(守りきれるの? 私の魔法で……)


 ベルフラムは無意識に九郎のズボンの裾を掴む。

 クラヴィス達も余りに規格外の大きさの化物に、尻尾を丸めて九郎の足に縋りついている。レイアの顔も青褪め、呆然とした表情で立ち尽くしている。

 そんな緊張した空気を破ったのは、誰もが笑えない冗談だった。


「二度もうんこは嫌だよなぁ……なぁ?」


 九郎一人が驚きを見せず、嫌そうに顔を歪めていた。

 一瞬「何を言っているの?」と顔を上げた三人の少女の頭に、順に九郎の手が置かれる。

 九郎はベルフラム達の頭を無造作に掻き回すと、首をコキリと鳴らして震える少女達に親指を立てて笑みを向けた。


「わ、私はクロウと一緒ならどこだって――」

「俺がなんだよ。スカトロは趣味じゃねえや」


 強がりと本心のどちらも含んでベルフラムが眉に力を込めて言うと、九郎はおどけた様子で舌を出す。

 怯えを見せた自分達を奮い立たせようとしているのか、その表情には余裕さえ感じられる。

 呆気に取られてベルフラム達が目を剥く中、九郎は前へと進み出ると、腰のナイフを引き抜いた。


☠ ☠ ☠


「まあ見てろって」


 九郎はナイフを引き抜き斜面を下ると、肩越しにベルフラム達に笑みを向けた。

 今迄の九郎であれば狼狽えまくっていたことだろう。

 しかしこの状況で――保護者である自分が慌ててしまっては、またベルフラム達が無茶をする。


 ずっと不甲斐無い姿ばかりを見せて来た自覚があり、ここ数日雄一がどんな手でくるのかばかりを考えていた九郎は、目の前の『災害級』の化物を見ても、焦りを表に出す事は無かった。


 一応可能性は考えていた。

 雄一が九郎を毒殺しようとした時溢した「『災害級』の魔物も『召喚』できる」との言葉。九郎が知る『災害級』の魔物は『大地喰いランドスウォーム』しかいない。実はこの地方のもう一種の災害級、『サファイアバジリスク』を喰らってきていたことはついぞ知らない。

 しかしその脅威は知らなくても、この地方で『大地喰いランドスウォーム』と双璧を成す災害級の魔物の毒は、九郎の体に刻まれていた。


 九郎は『不死』だ。食われてどうにかなる体では無い。

 しかし守るべき者達が増えた今の九郎にはもう、食われてからの・・・・・・・生還・・は選択出来ない。


(まず落ちる時の衝撃から皆を守れる自信がねえ……)


 もし雄一が『大地喰いランドスウォーム』を嗾けてきたら。

 仮定であってもその想像は、九郎からしてみれば恐怖そのものだ。


 大量に降り注ぐ瓦礫からも、その後の酸の海からも、大事な命4人分は守りきれない。だからこそ九郎は模索していた。

 嗾けられる可能性がある、巨大なミミズの倒し方を。 


(最初は中にいたから取れなかっただけだっつーの!)


 まだ見た事のある魔物だから幸運だと、九郎は自分に激を入れる。

 負けて帰って来ていたが、万の軍勢で倒せる算段があった事実も一つの希望。

 そして何より、倒し方を事前に知る事が出来た事が、九郎にとっての突破口だ。


「クロウ! 私も!」


 背中で我に返ったベルフラムが、共に戦う意思を見せる。

 それに後ろ手に手を振り、問題無いと九郎は返す。

 覚悟は決めているが、それでも今の顔は見せたくない。

 痛みに怯える様な、情けない男の顔は、彼女達には見られたくない。


(もっとこえぇもんがあんだろ!)


 九郎はベルフラム達に背中を向け、ナイフを振るう素振りで腕を切り裂く。

 今迄に比べればかすり傷にも等しいのに、静脈を切り裂いただけで、堪えていても涙が滲む。


「レイア、一応俺も考えてんだぜ?」

「クロウ様……そそ、そ、それは……」


 九郎は肩を竦めて虚勢をはる。

 レイアの前では無様ばかりを晒している。少しは格好つけさせろと、言いたいところだ。レイアの声は震えている。その震えは迫りくる化物に対してのものか、それとも九郎の手を見て、余りのショボサに呆れているのか。


 九郎の腕に血が伝う。


「俺の手札は少ねえからよぉぉっ! 『冷たい手ウォームハート』!!」


 しかしその血は地面に零れ落ちたりしない。

 滴り落ちる筈の血潮は、生きたまま氷柱の中に封じられる。

 赤い氷柱が伸びて行き、それは途中でポキリと折れる。

 魔力を持たない九郎の氷柱はとても脆い。しかし今の九郎は強度を必要としていない。


「これでも肩の強さにゃ自信があんだよぉっ!!」


 九郎は叫び、数歩助走を付けると、渾身の力で手の中にある赤い槍を放り投げる。

 

「届け! 俺の魔球! 『大暴投』!!」


 赤い槍が『大地喰いランドスウォーム』の咢へと吸い込まれる。

 的など狙う必要は無い。これだけ巨大であれば、どこであっても標的に当たる。

 暗闇に吸い込まれるように消えていった槍が、穴の底に触れのを感じた瞬間、九郎は力を解放させた。


「2度目の登場怪獣はカマセって相場が決まってンだよぉ!!

    『昇天する心地セブンスヘブン』!!!」


 ずっと鳴り響いていた地揺れの音はピタリと止んでいた。


☠ ☠ ☠


「うぇっ!? うわぁ……」


 九郎がは思わず引きつった笑みを浮かべていた。

 山をも崩すと言われる『大地喰いランドスウォーム』は、九郎の投げた毒の槍を飲み込み、ぐったりとその身を大地に横たえていた。


 それだけであったのなら、九郎は渾身のドヤ顔で振り向き、称賛を浴びていただろう。

 しかし、九郎自身が思っていたように『昇天する心地セブンスヘブン』は、こと生物に対しては、凶悪過ぎていた。


「す、すまん……うんこが嫌だっつてたら、うんこ作っちまった……」

「……もうちょっと言い方ってものが無いの? さっきからうんこうんこって……」


 九郎はいつものように弱り顔で頭を掻き振り返ると、ベルフラムが安堵の混じった呆れを溢していた。


「なにやったんだ坊主……」


 先程まで戦う気概も見せなかった護衛の冒険者、ナッシュが自分の死が遠くなったのを悟り、眼下を眺めて声を漏らす。


「え? いや、聞いてたもんで……。『大地喰いランドスウォーム』って毒で倒すんでしょ?」


 どれだけ巨大であっても『大地喰いランドスウォーム』も生物であるのは変わらない。地球でも太古の昔から、人は毒をもって巨大な獣を倒して来た。

 それはこのアクゼリートの世界に於いても変わらなかったと言う事だ。


「なんの毒をつかったらあんなになんのよ……」


 ベルフラムは尚も呆れ顔を浮かべている。


「いや……いろいろ混ぜちまって……俺も分かんねえ……」


 九郎もこの結果は予想外だと言う他無い。

 山裾から見下ろしても冷や汗が噴き出るような、恐ろしい世界が広がっていた。

 九郎の『昇天する心地セブンスヘブン』を文字通り喰らった『大地喰いランドスウォーム』は、動きを止めた後溶けだしていた。

 それだけであれば、単に巨大なうんこが出来上がるだけで済んだのだが……。


「悪臭だけでああ・・はなりませんよねぇ……」


 レイアが恐々と麓を見下ろし、眉に皺を刻んでいる。

 どうにも言い訳出来ない気がして、九郎は頭を掻くしかない。

 九郎が作り出してしまった巨大なうんこからは黄茶けたガスの様な物が吹きだしていた。単なる悪臭であれば、笑い話で終わりそうなのだが、そのガスは木々を萎れさせ、同時に襲って来ていた『小鬼ゴブリン』すら溶かし始めていた。


(そういや亀の時も何か気体が直撃したら顔面が溶けたんだった……。ますますやべえ技だな……『昇天する心地セブンスヘブン』……)


昇天する心地セブンスヘブン』が毒性を発揮すると、糜爛剤に似たガスを発生させる事に成る事を思い出し、九郎は頬に冷や汗を流す。


「やぁるねぇぇ? てっきりこれでお終い! 俺様超エコって思ってたんだがなぁ?」


 とその時、粘つくような声と共に、岩棚の上に黒い穴が開く。


「――『深淵なる赤』、ミラの眷属にして心に灯る獅子の炎よ! 吠えよ!

   『フラム・フォールティア・ムルト』!!」


 穴が見えた瞬間、条件反射のようにベルフラムが魔法を唱えていた。

 小さな炎がベルフラムを中心に浮かび上がり、九郎達の頭の上で弾けるようにして消えて行く。弾けた炎が雪の様にはらはらと九郎達に降り注ぐが、少しの熱も感じない。

 雄一の爆散魔法に対抗する為の魔法だろう。


(ベルの魔法か? 何も変わった気がしねえが、『勇気の魔法』って言ってたし俺の勇気も湧いてくる気がしなくも無くも無い!!)


 勇気が増えるとはどんな感じか分からない九郎は、体に降り注ぐ炎の雪を横目に見ながら雄一を睨みつける。


「ん~? まだキミらに魔法使う気はねえよぉ~? 無駄な魔力消費乙!」


 雄一は穴から顔を出しただけの状態でベルフラムを指さし、嘲るように笑う。


「やっと姿を現しやがったな! てめえ幼女誘拐も大概にしやがれっ! しつこすぎんだろ、このハゲっ!」


 九郎は即座に駆け出し、穴の方へと駆け出す。

大地喰いランドスウォーム』が出現した時から、薄々感付いてはいたが、やはり雄一の仕業だったと、その顔が怒りに歪む。


「しつこすぎんのはお前らだろうがぁぁ? ベルフラムたんも親父と同じように、とっとと泣き叫べば終わる話じゃぁぁん?」

「おあいにく様っ! 私にはクロウがいるもの! あんなミミズ何匹いたって絶望なんかしないわよ!」 


 雄一が顔を歪めて更に煽ると、ベルフラムが啖呵を切って杖を翳す。

 彼女も初めて『大地喰いランドスウォーム』を目にしてその大きさに弱気になったが、彼女にとって『大地喰いランドスウォーム』は九郎との絆を強固にした思い出の魔物でもある。他の者よりも心に湧く恐怖は少なかった。


(雄一はベルに絶望を与える為に俺らを追い詰める気だっ! この道を通る様に仕向ける為に最初にあんなでけえ魔物を召喚したんだ!)


 九郎の頭の中に確信めいた予感が湧く。

 前もって『転移』の魔法は「好きな場所に自由に行き来する術では無い」ことが聞かされていた。もしそんな術であれば九郎はベルフラムの傍を片時も離れられなくなってしまう。

『転移』の術は前もって準備が――マーキングのような物が必要だとベルフラムから聞いている。


(街道を外れて、山道に誘導された今の状況はひたすらにマズイ!)

 

 既に最初の罠にかかってしまっていた。

 ――まだ魔法を使う気は無い――雄一のセリフからも、この男がここでまたベルフラムを追い詰める為の嫌がらせを仕掛けてくる気であると気が付く。


 自分に向けて駆け出した九郎の姿に、雄一は少し慌てた様子で黒い穴から地面に降り立つと、すぐさま両手を前にして黒い穴を作り出す。

 雄一の目の前に展開された黒い穴は見る見る大きく広がって行く。


「あんな毒使うなんて酷いじゃないかぁ~! じゃあ続いて『動く死体ゾンビ』5000体行ってみようっ! 今度は毒なんてきかないぜぇ~? はぁ~い団体様ご案なぁ~いってなぁ!!」


 雄一の瞳が残虐な笑みを形作り、さも愉快そうに言葉を吐く。

 開いた黒い穴からゾロリと人の影が湧き出てくる。

 そして漂う腐敗臭に九郎が顔を顰める。

 黒い穴から湧き出てきた、体の腐った人間の姿に背筋が寒くなる。


「逃げんな! 腰抜け野郎っ! もっかい除草してやっからこっちに来やがれっ! このハゲっ!!」


 目の前に現れた大量の『動く死体ゾンビ』の群れに挑みながら九郎が叫ぶ。

 だが、人二人しか通れない道で溢れだした『動く死体ゾンビ』に阻まれて、雄一に向かう事が出来ない。

 体を炎に『変質』させて『動く死体ゾンビ』を殴りつけるが、体力だけが取り柄の『不死』の魔物。腐った汁を撒き散らすだけでなかなか倒れない。


「クロウ様っ! 逃げましょうっ! 数が多すぎますっ!!」


 レイアの氷の槍が九郎に迫る『動く死体ゾンビ』の一匹を串刺しにする。

 胸に大きな穴を開けたと言うのに、貫かれた『動く死体ゾンビ』はそれでも動きを止めていない。


「くそっ! 罠だって分かってんのに進むしかねえのかっ!!!」


 既に雄一の姿が見えない程に道には『動く死体ゾンビ』が溢れて来ている。

 何匹かはそのまま崖下へと落ちているが、それ以上に積み上がって来る『動く死体ゾンビ』の群れに九郎の顔も青くなる。

 目の前の『動く死体ゾンビ』に前蹴りを叩きこみ、九郎は踵を返して走り出す。

 足に伝わって来た、腐った内臓の感触が気持ち悪い。


「気を付けろっ! この道を通る事はあいつの予定の一部だ! 油断すんなよっ!!!」


 前方でベルフラムが頷く姿が見える。

 ベルフラムも雄一が現れた事でその可能性を考えていたのだろう。


「でも細い道で『動く死体ゾンビ』なんて舐め過ぎよっ!!!

 ――『深淵なる赤』、ミラの眷属にして全てを焼き尽くす煉獄の炎の子よ! 焼き尽くせ!

   『ウォル・フラム・バイス』!!」


 呪文の言葉と同時に九郎の後方に炎の柱が吹き上がる。

 溢れだした『動く死体ゾンビ』が次々と炎にその身を投げ出して行く。


「5000体いようが勝手に突き進んで燃え尽きるのがオチ………」


 言い放ったベルフラムの言葉は途中で途切れる。

 炎の壁を抜けて『動く死体ゾンビ』が姿を現したのだ。


「『動く死体ゾンビ』じゃなくて『魔動死体レブナント』じゃないっ! あの嘘吐きには本当の言葉なんて無いんじゃないの!?」


 ベルフラムが忌々しげに吐き捨てる。

魔動死体レブナント』は通常の『動く死体ゾンビ』と違い魔法にある程度の抵抗力を持っていると言う。墓場などで死体が自然に悪霊化して発生する『動く死体ゾンビ』と違って、大規模な魔術を使わないと生み出せない『魔動死体レブナント』は、そう大量にいるものではないらしい。


「『魔動死体レブナント』は強い魂を持ってた死体に白の魔術を施して『動く死体ゾンビ』化させるの! 生前に戦士や騎士みたいに戦いに優れた者でないと魂が耐えられないで崩壊する筈なのよ! そんなに大量にそんな戦士が……」


 隣に走る九郎に魔法の効果が薄い事を言い訳する様に、ベルフラムが言葉を続ける。そして自分の言葉に何か気付いた様子で走りながらも後ろを見やる。


「5000人……全員戦士……討伐隊だったのね……。あなた達は…………」


 ベルフラムは、悲しそうな悔しそうな、憐れむような視線を『魔動死体レブナント』達に向ける。

 炎にその身を焼かれながらも突き進んで来る『魔動死体レブナント』の装備は、レミウスの騎士の鎧や、冒険者の格好だ。

大地喰いランドスウォーム』の討伐で全滅した兵士達が、雄一の魔術によって『魔動死体レブナント』として蘇ってのだろう。殆んど誰も帰る事が出来なかった悲劇の被害者達は、今こうして姿を変えて戻って来たのだ。遺族にその形見すら届けてやれず、領主の娘の自覚の薄いベルフラムの心もチクリと痛む。

 領地の為に戦って命を落とした兵たちが、領主の娘の自分に復讐して来ているかのように思えてベルフラムの心は大きくざわつく。

 捨てようとした身分にしがみ付く選択をしたベルフラムを責めている様な、暗鬱とした気持ちが込み上げてくる。


「でも仕方ないじゃないっ! 私だって生きていたかったのよ! これまでも! これからもっ!!」


 ベルフラムは『魔動死体レブナント』に向かって言い訳じみた言葉を叫ぶ。

 伝わらない事は分かっている。

 そもそも彼らにそんな気は無いのかも知れない。

 だがベルフラムの後ろに迫る『魔動死体レブナント』の群れの恐怖に抗う為に、ベルフラムは声を張り上げる。


 そんなベルフラムの頭に大きな手が置かれる。


「ベル! 後ろばかり見てたら躓くぞっ!!」


 九郎の投げかけてくる言葉は、ベルフラムの心に言ってきたような気がした。

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