ダイレクトメッセージ。

「末松さん!大変です!こんなのがToritterに来ました!」



熊井さんはバイトから帰ってくるとそう言いながら俺に走り寄ってきた。



熊井梨子様


いきなりのDM失礼いたします。

私は大学で映像制作を専攻している三浦由依と申します。

熊井様が投稿していた『君は幽霊』を拝見させていただきとても感激いたしました。


もし可能でしたら今後の作品の映像部分のお手伝いをさせていただければと存じます。

よいご返事をお待ちしております。




「ですって!どうでしょう?」



たしかに映像を作れる人が味方にいればこれほど心強いことはない。

しかし素性が全くわからない人に会うというのもリスクがある。

特に熊井さんさんは美人なのでそのリスクはより大きいものになるだろう。

ん?初対面?それなら俺人から見えないし待ち合わせ場所で偵察してくればいいんじゃね?

そうすれば熊井さんも安全じゃん。俺が活躍する場面じゃん!



「たしかに映像を作れる人がいれば幅が広がりますし今後にとっていろいろいいと思います。ただ向こうは熊井さんの顔を知ってますがこっちはしらない。ネットで知り合った初対面の人というのは結構危険だったりするので初回の待ち合わせのタイミングで僕が先にどんな人か確認するのとその後に素性調査を僕がするっていうのはどうでしょう?」



正直素性調査までやるっていうのはさすがにやりすぎかとも思ったが俺が幽霊で可能ならやるべきだろう。

相手の人も女性のみたいだしあまり私生活を覗きすぎるのも駄目だろう。

ただ正直この人の目的がわからない。ミュージックビデオの制作を依頼という形でやるならお金の要求があるかもしれない。

初回のアポイントメントでそれがあれば少しは安心なのだがそれがないとなったらもはや目的がわからない。

ただの働き損であるし時間の無駄になってしまう。

どういう意図で手伝うと言っているのかさえわかれば安心出来る。



「そうですね!そうしたら偵察&調査は末松さんにお任せします!その方が私も安心できます」



「初回のタイミングで製作依頼費としてお金の話になれば結構安心出来るんですがそうでなければ何が目的かわからないのがちょっと不安です」



「たしかにそうですね。ただお金請求されても払えるお金が私にはないです。いくらぐらいが相場なのか調べておいた方がいいですかね?」



「そうですね。一応相場だけ調べておきますか」



一応会ってみるというのは方針として決まった。

ここから三浦さんがどういう人かどうかでいろいろ変わってくるが良さそうな人であれば熊井さんの曲がもっといろんな人に届くようになるかもしれない。

そうなれば熊井さんと俺の夢に一歩近づく。




三浦様


ご連絡ありがとうございます。熊井です。

『君は幽霊』見ていただけて嬉しいです。

ぜひ会ってお話出来ればと思っております。

お時間を作っていただくことは可能でしょうか。




「こんな感じでどうでしょう!」



「いいと思いますよ!送ってみましょう」



俺がそう返事をすると彼女はメッセージの送信ボタンを押した。

こう見えても俺は就活生をやっているのだ。ビジネスメールの添削ぐらい朝飯前だ!

三浦さんからの返信は想定していたよりも早く返ってきた。




熊井様


ぜひこちらもお会いできればと思っておりました。

二日後もしくは三日後の十四時からはどうでしょうか?


ご確認よろしくお願いいたします。




「末松さん!二日後か三日後ですって!」



「意外と早いですね。熊井さんの予定はどうなんですか?」



「二日後は何も予定ないです!」



「そうしたら二日後ですかね。決戦は二日後です!!」



「はい!」



彼女は元気よく返事をして三浦さんに二日後でという旨の返事をした。

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