文句ありげな陽炎に「ざまあみろよ」と笑ってみたいです。
悲鳴。
そうだ。俺はつい先日出来た可愛い彼女と千葉県にある某夢の国にデートをしに来ていたんだった。
絶叫系を彼女と手を繋ぎながら乗っている。
この後は取られた写真で目を瞑ってる、瞑ってないとか談笑しながら、うふふふ。
ん?いや?違うな。
俺に彼女なんていなかったわ。
むしろ人生でいたことなかったわ。
そして夢の国は付き合いたてのカップルにはなかなかきついだろう。
いやいやそういうことじゃない。
俺は確か……
突如とした頭痛が俺を襲う。
色々なことが走馬灯のようにフラッシュバックしてきて
「思い……出した!!!!」
あの女性は無事なのか?!
あの状況から俺は間に合ったのか?
うつ伏せに倒れていた俺は顔を上げた。
目の前にはサラサラ黒髪ロングヘアーの彼女が倒れていた。
彼女のスカートが顔を上げた先にあり、パンツが少し見えてしまったというアニメあるあるなネタを少し想像してしまった自分が憎たらしい。
しかしそんなアニメみたいな展開はあるはずもなく。
パンツは見えない。
パンツは見えない。
重要なところなので2回言いましたよ。
彼女に特に目立った外傷はない。
しかしトラックに跳ね飛ばされて外傷が無いだけかもしれない。
俺は狼狽しながら彼女に触れずいた。
「う、んん」
彼女は顔に違わぬ可愛い声を出しながら起き上がった。
もし、俺がリア充イケメン非童貞モテモテだったらニコッとハニカミながら
「怪我はないかい?」
と声をかけ、
「きゃー!イケメン!抱いて!」
となるところだが誠に遺憾ながら真逆の俺にはそこまでのコミュ力は無かった。
「た、助けてくれたんですか?」
俺が声をかけられずに狼狽してると彼女から声をかけてくれた。
さすが、美人。俺とのコミュ力の次元がまるで違う。
俺は首を全力で縦に振っていた。
「ありがとうございます。ほんとに助かりました!」
やばい。輝かしい笑顔。
この笑顔を守れた。それだけで俺が生きてきた意味があった。
母ちゃん、俺、死ぬ前にいいこと……でき……た……よ……
そう考えながら昇天しそうになったと思ったが気のせいだった。
と、ここで重要な事があるよね。
「僕のこと見えてるんですか?」
あ、思わず声に出しちゃった。
昨日の深夜は間違いなく見えて無かった。
なのに彼女は俺のことが見えている?
冷静を装うが顔はすごいことになっているだろう。彼女はなにをわけのわからないことをという顔をしている。
「えーと……見えてるってどういうことですか?」
妄想マスターの俺の妄想では無かった。
彼女は間違いなく俺が見えている。
周りを見渡すと野次馬の人が
あの子何もないところに話しかけてる?
みたいな顔で心配そうに見ている。
これはまずい。助けたはいいものの彼女が頭を打って見えないはずのものが見えているという診断が出たらどうする!
もし俺がここでシュパン!と消えることができたらめっちゃカッコイイんだろうが残念、そんな力は俺にはない。
ピーポーピーポー
警察がやってきた。
「あのぉ、一旦僕がいない
彼女は意味がわからないという表情をしているが俺は続ける。
「いろいろ諸事情がありまして、僕がここにいるとまずいというかあまりよろしくないかなぁって感じなので、ギリギリ避けたら当たらなかったみたいな感じでお願いしたいんです」
言っててよくわかんねぇって言ってる俺自身が思ってる。
しかし彼女はハッ!として
「わかりました!内緒なんですね」
と微笑みながら返した。
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