少年はその先へ。(BGM)
やっと宿主を見つけたと思ったのに、また振り出しに戻ってしまった。
俺は絶望に打ちひしがれた。現実は甘くない。それは二十二年間生きてきた中でわかっていたはず。
今まで必死になってやってきても判断されるのは一瞬、それがダメならばダメ。それが世の中。
この日本という国なのだ。
俺は結局何も達成出来ず、見たいアニメすらも見れずに消えていくのか。
生きるって何なんなのだろう。そう考えていると涙が溢れてきた。
親が実は政府の特殊部隊で人外の力を持っていたとか、じいちゃんの遺した日本刀が形を変えてヒーローになるとか、空から女の子がロボットに乗って降ってきて俺が人類を救う人に選ばれるとかそんなことは起こらなくていい。
ただ少しだけ、ほんの少しだけ大好きなアニメみたいなことが起こってほしかった。
人生に意味を求めてしまう。それは愚かだとこの前見たアニメでそんなことを言っていたキャラがいた。
しかし何かを残せるなら、何かを成し遂げられるなら、誰かの人生の一部、支えになれるというのであればそれに越したことはないのではないだろうか。
泣いて許されるのは可愛い幼女のみ。こんなおっさん幽霊が泣いていたところで絵面はよくないだろう。
「我が
もちろん我が
そして俺はまた再び町へ繰り出した。外は少し白んでいた。
◇
もしかしたら、夜以外は動けないかもしれないという可能性もあったが、俺はバリバリ稼働中である。
動きにくくなるとか、気分が悪くなるとかなどの副作用はない。
ただ強いて言えば日差しが眩しいということぐらいか。
だがこれは死ぬ前からそうだったので特に死んだからとかいうものではないのだろう。ただひとつ違うことがあった。
『眠くならない』
これはすごい。この体なら寝ないでアニメが見続けられるし、ネトゲもトッププレイヤー間違いなしだ。
俺は常日頃から人間の最終形態は睡眠が必要ないように進化すると思っていた。
ということはもはや俺は人類の最終形態になったのではないだろうか。
まぁ何も触れないし声もかけられないから何もすることはできないのだが!
そんなことよりとりあえず宿主探しをしなければならない。
我が
よく言われる
「本当に大切なものは失ってから気づく」
この言葉を考えた人は天才か!
再降臨してから唯一心の許せた我が
初めて人のぬくもりに触れることができた。(妄想)
初めて共に居たいと思えた。(妄想)
あぁ我が
そんな余韻に浸ってみるが十二秒ぐらいで飽きた。
それによく考えたら彼女いない歴=年齢、親族で一番最初に死んだ俺にはその言葉の真意はよくわからなかった。
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