ラノベ感想(2019年7月~9月)

87.路地裏に怪物はもういない 感想。

 『ふあゆ』で「第3回ライトノベル・フロントライン大賞」の大賞を受賞した今慈ムジナ先生の新作です。

「ゼロ年代を愛した全ての読者に捧げる平成最後の新伝奇」という謳い文句に惹かれて購入しました。

 ラノオンアワードでも2019年4月刊総合部門&新作総合部門の2部門選出されており、評判の高さが伺えます。



◆タイトル『路地裏に怪物はもういない』

◆作者 今慈ムジナ

◆イラスト やまかわ

◆レーベル ガガガ文庫

◆発売日 2019/04/18


◆感想


 高度に発達した文明社会は路地裏の暗闇さえも駆逐し、この世界に幻想の居場所はなくなった。


 そんな幻想の余地がなくなった現代社会で、十代の少年少女を中心に乖異と呼ばれる不可思議な現象が起きるようになっていた。


 路地裏で起こる謎の猟奇殺人。吸血鬼をテーマにしたお茶会に現れる本物の吸血鬼。行方不明になった少女たちの行方と、吸血鬼の正体は――というお話。


 主人公で最後の幻想の幽、絶えた怪異を殺す少女・椿姫、 空想を終わらせる男・流といった個性豊かなメンバーが魅力的です。


 刀を使う女子高生とか、飄々としてて読めない大人とか、お嬢様やメイド……ロマンの塊でしょ、これ。


 読んでいくと、どんどん厨二病な感じのワードが出てきて、これぞ伝奇物!という感じがしてワクワクします。


 だけど懐かしさん感じるだけではなく、ネットやSNSやナイトプールなど今どきな要素も取り入れられていて、その点も新鮮です。


 作中では吸血鬼、セイレーン、招き猫、そして「真祖」と大きくわけて4つの乖異と対峙しますが、どの物語も読み応え抜群で、どこか切なさやほろ苦さの残る展開も好きです。


 最初から最後まで面白くて夢中になって読みました。うーん、これは評判良いのも頷ける! 次のこのラノで投票するかも。


 西尾維新や奈須きのこの物語に夢中になった世代にはドンピシャだと思うのでぜひ読んで欲しいです。



◇『利他的なマリー』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885969256/episodes/1177354054890307299


◇『1/2-デュアル-死にすら値しない紅』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885969256/episodes/1177354054888369671

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