74.アジャンスマン:あるいは文化系サークルのラブコメ化を回避する冴えたやり方 感想
この作品は、第30回ファンタジア文庫大賞で最終選考で落ちたものが拾い上げされての出版らしいです。
『図書迷宮』や『スカートの中のひたみつ』もそうですが、拾い上げ出版って面白いですよね。
賞には至らなかったけど、何か光るものがあった、その何かが何なのか、考えて読むのも面白いかもしれません。
さて、表題にもなっている「アジャンスマン」という言葉ですが、聞きなれないと思ったらどうやら哲学用語のようですね。
ググってみたらはてなキーワードにこんな風に書いていました。
“「アレンジメント」(arrangement)の哲学用語。
「鎖列」とか「組み込み」・「整理」・「配置」などとも訳される。音楽的な「アレンジ」、即ち「編曲」と捉える方がDG哲学などにおいては望ましい場合も多い”
作中ではWeb小説家にアドバイスしたり編集っぽいこともやってるのでそういうイメージなんですかね。
タイトルからしてSF好きだろうとは思っていたのですが、哲学も好きなのかもしれませんね。
というわけで読んでいきます。
◆タイトル『アジャンスマン:あるいは文化系サークルのラブコメ化を回避する冴えたやり方』
◆作者 御手座祀杜(みてぐらしと)
◆イラスト Gilse
◆レーベル ファンタジア文庫
◆発売日 2018/12/30
◆感想
休学を経て二度目の高校三年生となった留年生・山繭旁。
彼はかつて所属していた現代コンテンツ表現調査部会――通称「PR会」の部室を訪れた。
しかし、すでにそこは後輩女子たちがオタトークを繰り広げるだけのゆる~い空間に一変していて――
様々な能力を持っているのに生かしきれていない新たな部部員たち。
コスプレ好きだったり、イラストが上手かったり、声優だったり、中にはなろうとカクヨムを足して割ったようなサイトに小説を投稿してる子まで!
そんなPR会で、オタサーの姫ならぬオタサーの王子様になってしまった山繭くん。彼がスペックは高いのにどこか残念な美少女たちを創作の道に導くというお話です。
……とここまでは文化系の女の子たちとの普通のラブコメなんですが、読んでいるうちに、主人公山繭がなぜ休学したのか、前の部員はどんな人たちだったのかなんて謎も出てきて、『
一気に文化部版能力バトルみたいな感じになってきたりなんかもします(実際にバトルとまではいきませんが)
そして最終的に部活でWeb小説コンテストのような物に挑むのですが……ううん、ここで終わりか!
面白かったけど、残された謎がまだ結構ある気がしますね。
2巻3巻と、続刊がでて、他の先輩とか他の部員の能力が発揮されていけばもっと面白くなってくるかもしれません。
(そこがもしかして受賞に至らなかった理由なのかも?)
所々に実在のアニメやラノベをもじったようなタイトルの作品が出てくるのが特徴で、アニメ好きな人は元ネタを探すのも面白いと思いますよ。
アニメやゲーム、ラノベなどサブカル好きな方はチェックしてみてもいいかもしれません。
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