73.月とライカと吸血鬼 感想
今回の感想は『月とライカと吸血鬼』です。
実はこの作品を読んだのは『ひとりぼっちのソユーズ』が書籍化した時に、書店で隣に並んでいたので購入したのがきっかけです。ですから結構前ですね。
まだその頃はそんなに知名度は無かったと思うのですが、あれよあれよという間に続刊が出て、去年のこのラノでは4位、今年のこのラノでは12位と、いつの間にか人気作品になりましたね。
続刊も続々と出ており、それを見る度に私は『ひとりぼっちのソユーズ』も続刊出てくれと思います。関係ないですが(笑)
作者の牧野さんは『HiGH&LOW』や『ペルソナ5』などの脚本・シナリオに携わった方のようです。
◆タイトル『月とライカと吸血鬼』
◆作者 牧野圭祐
◆イラスト かれい
◆レーベル ガガガ文庫
◆発売日 2016/12/20
◆感想
いまだ有人宇宙飛行が成功していなかった時代。ツィルニトラ共和国連邦の最高指導者は、人間をロケットで宇宙に送り込む計画を発令。
その裏では、実験飛行に人間の身代わりとして吸血鬼を使う『ノスフェラトゥ計画』が進行していた。
閉鎖都市で訓練に励む宇宙飛行士候補生のレフは、実験台に選ばれた吸血鬼の少女、イリナの監視係を命じられることになる。
上層部のエゴや時代の波に翻弄されながらも、ふたりは命懸けで遙か宇宙を目指す。宇宙に焦がれた青年と吸血鬼の少女が紡ぐ、宙と青春のコスモノーツグラフィティ。
架空の国を舞台にした宇宙物語です。ファンタジーとSFが融合したような世界観が面白いですね。
タイトルを見て最初に脳裏によぎったのはライカとかクドリャフカとか呼ばれているあの可愛そうなソ連の宇宙犬のこと。
実は私、以前にこのライカ(クドリャフカ)をテーマにした小説を書いたりもしていてこのテーマには弱いんです。(詳しくはググって下さい)
だけどこのお話の舞台はソ連ではなくファンタジーの架空の国。
その中で、吸血鬼は迫害された少数民族みたいな扱いを受けています。化物でもなければ不死でもない、人間と少し違うだけの種族という扱い。
吸血鬼でヒロインのイルナはあの宇宙犬のように「実験動物」として宇宙に送られます。
宇宙への憧れやロマン。歴史小説を思わせるさせる壮大さや熱さ。
それに迫害や差別と戦う美しいヒロインのイルナと、その監視任務についたレフとの交流が加わり絶妙なバランスの作品だと思います。
苦境に立たされながらもそれを乗り越える二人のやりとりは時に心温まり、時に物悲しく、時に美しいです。
SFが好きな方にもファンタジーが好きな方にも満足できる作品では無いでしょうか。
変わった世界観の物語や重厚なテーマのファンタジーを読みたい方にはオススメの一作です!
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