67.ハイカラ娘と銀座百鬼夜行

 こちら、第3回カクヨムコンシリーズ第四弾です。


 富士見L文庫なのでラノベ感想に入れてもいいのかなー、ライト文芸では? と思ったりもしたのですが、『このライトノベルがすごい!』でも『ひとりぼっちのソユーズ』とか富士見L文庫の作品が載っていたので、まぁ良いことにします。


 作者の作楽シンさんは2017年に「大人が読みたいエンタメ小説コンテスト」で大賞を受賞しデビューと書いてあったので調べてみたところ……ノベルゼロで大賞をとった『あなたの健康を損なうおそれがあります』の方だったんですね。


 作者名が変わっていたので全然気づきませんでした。


 ノベルゼロコンでもカクヨムコンでも賞をとるなんて、かなりの実力者ですね!


 というわけで……


◆タイトル『ハイカラ娘と銀座百鬼夜行』

◆作者 作楽シン

◆イラスト ヤマウチシズ

◆レーベル 富士見L文庫

◆発売日 2015/12/15


◆感想



 時代は明治か大正くらいでしょうか。ガス燈に石畳。モダンガールが闊歩するような銀座で百鬼夜行のおかしな噂が立ちます。


 それを書生の主人公・溝口とハイカラ娘である環蒔たまきお嬢様が追うというストーリー。


 モダンながら混沌とした雰囲気を醸し出す妖しげな帝都の描写が見事で、実際に自分がタイムスリップしたような気分になりました。


 活発で無鉄砲な環蒔お嬢様と冷静な書生の溝口のコンビも面白いです。


 話としては、個人的にはもっと沢山の妖怪や怪異が出てくる人情ものなのかなと思いきや、思っていたよりもずっとシビアなお話で、妖怪よりどちらかというと人間の怖さというか愚かさのほうが目立つ人間ドラマでした。


 西洋文明や西洋の価値観が入ってきて取り残されていく人々とそれに対する反発、混沌とした時代、それらと日本古来からの妖怪伝説がマッチして独特の雰囲気を作り上げていたように思います。


 続編があったら是非読んでみたいですね。



◇『ハイカラ娘と銀座百鬼夜行』カクヨム版

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884544531/reviews


◇『公女殿下の家庭教師』感想

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885969256/episodes/1177354054887797914


◇『あなたのドラゴン、差押さえます』感想

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885969256/episodes/1177354054887782354

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