第11話 僕ももらい泣き

「ボクは勝手に、お母さんのようだと思っていた。だから親しげに名前で呼んだ。というか本当のお母さんなんじゃないかって思ったこともあった……それが本当に、お母さんだったなんて……」


 ん? 何かおかしくないか? 感動のシーンではあるけれど


「ダリンさん、薬屋のおばあさんが、お母さんと同じ名前だっていうのは分かりましたが、それと目の前のリタさんと同じだってどうして分かったんですか?」


 まだ誰も、薬屋のおばあさんとリタさんが同一人物だったと説明していない。


「髪留めです。ボクが薬屋のリタちゃんにプレゼントした手作りの髪留めをしていたから。そして、マルチーヌが元の姿に戻っていることでボクの中でコトが一つに合わさったんです……お母さん、リタちゃんの姿でずっと傍にいてくれたんでしょう?」


 そこからは、皆で号泣大会だった。

 ダリンさんは、お母さんとの再会以上に、自分があげた髪留めをお母さんがずっとしてくれていた事が嬉しかったと言う。


 それが自分を思ってくれていた何より の証拠だと。

 一緒に暮らそうと迎えにこなかったことを恨んではいなかった。ブラウン師匠(姐さんたちのお父さん)が本当の息子のように育ててくれた事と、そして薬屋のリタちゃんが居てくれたからだそうだ。




 目まぐるしい再会につぐ再会、そして姐さんの魔法も解けて全てが一件落着のようになった翌日、僕はこれからどうしようと少し落ち込んでいた。

 そんな時に、リタさんから姐さんと二人で薬屋にくるようにと呼ばれた。

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