第6話 僕も一緒に捜査


 ダリンさんは、姐さんの実家である道場に居た。

 確かに、いかにもモテそうな爽やか系イケメンだ。その上、ウオヂをやっているからだろうか細身なのに筋肉も付いていて男の僕でも見惚れてしまいそうだ。

 姐さんは、ダリンさんに自分の目を指で引っ張ってツリ目にして、こういう女知らない? と聞いたが、アッサリ知らないと言われた。

  本当にそんな聞き方でいいのだろうか? と思ったが、僕は目狐さんを見ていないし特徴を説明する事も出来ない。

 ダリンさんから有力な情報が得られなかったので、今度は他のダリンさんファンの女性たちに会いに行く事にした。

 その一人が、姐さんの同級生らしい。



 ダリンさんに聞いた時と同じようにツリ目の特徴を話して聞き込みをしてみた。

「そんなツリ目の女性は知らないけれど、姿は見せないけれど長くファンをしている女性はいるみたいだよ」

「長く?」

「うん、ダリンさんが言ってたの、子どもの頃からいつもメッセージ付きでドーナツを差し入れてくれる人がいるって」

 ダリンさんに、いつもドーナツを差し入れしていた人が目狐さんかは分からない。けれど折 角得た情報なので姐さんは、さっそくまたダリンさんの所に行った。


「いつもドーナツを差し入れてくれていた人って誰?」

「ドーナツ? ああ、リタちゃんだよ」

 リタちゃん? 何だか親しげだ。さっき、目狐さんの事を聞きに来たときにはリタさんの話なんて出なかったのに。

「リタちゃんって誰よ、どこの女?」

 知らない人が聞いたら、浮気相手の女を吐かせるために問い詰めているような口調だ。

「リタちゃんだよ、ほら、薬屋の」

「薬屋? モモハナ通りの?」

「そうそう」

「はぁ? 薬屋っておばあちゃんだけじゃない」

「そうだよ、リタおばあちゃん。ドーナツをいつも差し入れてくれるのは薬屋のリタおばあちゃんだよ」

 ダリンさんの話が本当ならば、捜索 は振り出しだ。相手がおばあちゃんだったら目狐とは関係ない。しかも、今の話だと孫娘とかも居そうに無い。姐さんもそう思ったのか、リタ、リタとつぶやきながら脱力して座り込んでしまった。

「姐さん、一応、薬屋に行ってみましょう」

 僕は、座り込んだ姐さんの手を引っ張り起こした。ここでジエンドにしても仕方が無い。とにかく、進まないと。


 僕は、本来の姐さんの姿を見てみたい。そして、短期間でとてつもない魔法能力を身に着けた能力をもっと見たいし、色々教えてもらいたい。そして、もっといつものように元気でいてほしいのだ。

 二年間、探し続けて見つからなかった間は明るかっただろうに、この故郷のカラダに戻ってきてからの姐さんはガッカリしてばかりいる。

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