裏社会への第三歩

まさかもう二人の方に応援していただけるなんて…!感動に因幡めは打ち震えております!

ありがとうございます!一日一話を目指して頑張ります!

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死にたくない。


ただそれだけを思って走る、薄暗い路地は誰もいない。さっき盗んだパンは少し汚れてしまった。


「はぁっ…はっぁ、はぁ、はぁ」


ゴクリ、とツバを飲み込みまた走り出す。


「待てやぁ!このガキが!」


さっき盗んだパンの持ち主が追ってくる。


クソッ!なんでデブなのに足が速えんだ!


悪態をついても徐々に、徐々に距離は埋まっていく、子供と大人の体力なんて一目瞭然、しかも相手は冒険者だったのか腰に剣を持っていた。クソっ!デブのくせに!!


バシャン!と盛大な音を立てて水たまりに転ぶ。


不味い!と咄嗟に起き上がろうとしたがバシャリ!と地面に頭を抑えられ縫い付けられる。


「うぉら!捕まえたぜ!この盗人小僧が!」


ガツン!と髪を捕まれ頭を2度も地面に叩きつけられる。


「ぅぁっ…!」


思わず悲鳴がもれ痛みを訴えるが、こんなどこの誰とも知らない薄汚い孤児なんかに情けをかけるやつなんていない。


「テメェの!せいで!俺の食事が!パァじゃ!ねぇか!!」


ガツン!ゴツン!ガン!ガツン!

言葉の節を切るたびに頭を地面に打ち付けるクソデブ、俺の…頭はボールじゃねぇ


額がぱっくりと割れ、真っ赤な血がダラダラと垂れ流されている。


あぁ…意識がなくなってきた、おれ、ここでしぬのかな?


ぼやける視界のその先で、男が剣を引き抜くのを見た。


つまらない、人生だったな。


孤児なんてしてるんだ、死は隣り合わせだった。

男がニヤついた顔で剣を振り上げていた。


ゆっくり、目を下ろす。


すぐに来るであろう激痛は来なかった。


代わりに


ガギィィン!!!


剣と剣がぶつかり合う音が響く。


「貴方!何してるんですか!!」


ぼやける目を必死に開けた先には。


剣を構えた修道服の人が怒気をまとい、立っていた。










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