第三話「身分違い」

魔界についた。


キラキラして輝いてる彩りの宝石の数々が降っている。


「綺麗…」

両手に包み込まれた宝石が大好きな薄紫色だ。

「欲しいか?」

「でも…」

「大丈夫だ。持って帰ってもいいぞ」

「はい!ありがとうございます!」

キリッとした目つきに、太いまつ毛と黒色の毛。紅い宝石が嵌められているイヤーリップは、黒狼に戻るとネクッレスになった。濃い茶色のジャケットとズボンを着ていて、S級ハンターらしい格好をしていて、お似合いだ。


初めての魔界祭り。

「あら!銀様だわ!」

「銀様!!」

数々のメス狼と魔界の女性に囲みこまれ、人気者でアイドルだ。

「銀様…」

「あら!この子が銀様の奥さん?」

「は…初めまして。原田天満と申します。16歳で、銀様の花嫁になる人です。これからどうぞよろしくお願いいたします」

ペコリと軽くお辞儀をした。

「あらま!そうなの?おめでとう!」

「おめでとう!」

ワイワイとした賑やかな雰囲気に包み込まれた。

「銀様…おいくつですか?」

「25歳。人間だとね」

銀の母・真琴だ。

「真琴様!ご無沙汰しております。お元気ですか?」

「元気よ。ありがとう」

「天満!」

金髪をしていて、ウェインディングドレスを着ている少女はクリスだ。

「クリス!」

「クリス様!お久しぶりです!」

「メル様!お久しぶりです!最近、テル様がやっと仮面を外してくれました」

「あら!大怪我をしていらっしゃるのに?」

「はい…。でも私の前だけです」

悲しそうに辛そうに話すクリスを天満は抱きしめた。

「て…天満?どうしたの?」

「ごめんね。ずっと会いに来なくて…」

「ううん、大丈夫だよ。天満…忌引きでしょ?」

「うん」

「学校楽しい?」

「うん!楽しいよ!」

「そっか。良かった」


「メル様?」

雪のように白く光っているメス狼は、メルだ。

「ここだけの秘密ね」

「銀様、天満さんに一目惚れなの」

「え?」

ドキドキする。

本当にドキドキし過ぎて、心臓が持たない程だ。

「そ…そうなんですか?」

「うん!私、占い師なの。だから、人の心でも、獣の心でも、なんでも分かるわ。お見通しよ!」

「じゃあ、銀様の過去を教えてくれませんか?」

「それは、銀様に直接聞いた方がいいと思うわ」

「分かりました。ありがとうございます」


その日の夜。

「忌引きは、いつまでだ?」

「明日までですよ」

「そうか。学校頑張れよ」

「はい」

(過去のこと、私のこと知ってることいつか聞かなきゃ…)

そう思いながら、また優しい夜が過ぎていく。

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