第ニ話「瞳の色」
「銀色の瞳…」
天満はふと思った。
銀の名前の由来だ。
忌引きのため、まだお休みだ。
「掃除しよう」
銀の衣装を片付け、お掃除をし始めた。
ここは、お父さんとお母さんがいた場所。
もう誰もいない。
そう思っただけで、怒りと悲しみ、辛さが一気に溢れ出した。
「っ…!」
(もう…銀様の人になりたい。そしたら、きっと…!)
「天満?どうした?」
涙を流す天満を見た銀は、思わずキスをした。
「ん…」
優しいキス。
優しい瞳。
人間の姿でわざわざキスしてくれた。
「銀様は、黒狼と人間のハーフですか?」
「そうだ。父が黒狼で、母が人間だ」
「へえー、じゃあ、いつでも変身できますね」
少し表情が緩んだ天満を見た銀は、そっと肩を寄せた。
「銀様?」
「天満。君の両親を殺した連中を見つけたぞ」
「え?」
「こいつらだ」
「ううっ…」
険悪な黒狼の連中だった。
「君の両親だと知らずに殺したらしい」
「っ…!!」
「すみません」
「殺した理由はなんですか?」
「ただ単に遊びだと…」
バジッと奴らに強く平手打ちした。
「すみません」
「帰ってください」
(遊びだなんて…?そんなの酷いよ!)
泣くのが止まらなかった。
嗚咽した。
悲し過ぎる両親の死。
「天満」
「銀様…。抱いてください。お願いします」
「だが…」
泣く天満の姿をただ慰めたい。
そう思った銀だ。
「分かった。少し準備しろ。風呂に入ってくる」
天満は、パジャマ姿になって銀を待っていた。
(ドキドキする…)
ホッとしたようなしてないような複雑な気持ちとドキドキする感じがした。
「お待たせ」
「銀様?」
スーと滑からかな太腿に軽くキスをし、じっと見つめた。
「始めるぞ」
「はい」
事情を終え、二人は楽しく会話をし、銀の名前の由来について話し合う。いつもより暖かさが感じられた。
「瞳の色が銀だから、名前が銀ですか?」
「ああっそうだ」
「銀様。今度、花嫁のこと教えてくださいね」
「ああっ分かった。おやすみ。天満」
「おやすみなさい」
そっと肩を寄せて、二人は今まで以上に幸せを味わえた。
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