ドラゴン襲来(2)
街の壁側から、弓矢が
馬に乗った兵士が、
「ここ、ズームできますか?」
隊員が、コンソールを操作すると、私の指さした部分がズームアップされる。画面の端から槍が飛び込んで、
「今の
「できます」
場面が巻き戻る。槍が画面に入ってきたところから、スロー再生が始まる。画面の中で、にぶい銀色に光る槍の穂先が、
「あれって、
私は、隣で画面を凝視しているダニーさんに聞いた。
「いいえ、あんなもの聞いたことがありません。
ダニーさんは、モニターから目を離さずに答えた。
こちらからの攻撃を弾いているあれが何だかは判らないが、なんとかしないと
「くらえ!
マグネス隊長さんの突きだした穂先は、炎を纏っていた。だが、やはり
グェェェェッ!
岩に首を絡め取られ、身体は網で押さえつけられている
「よし、包囲せよ!」
「「「応!」」」
マグネス隊長さんが兵士たちに指示を出すと、暴れる
「かかれ!」
隊長さんの号令をきっかけに、兵士たちが鬨の声を上げて
気が付けば、兵士たちはみな、地に伏していた。その生死は、ここからでは判らない。みんな無事ならいいけど……。
ガラガラと音を立てて、瓦礫の中から
グォォォォンッ!
このままだと、内壁も破られてしまうだろう。そうすれば、街に甚大な被害が出てしまうだろう。
「私たちも前進しましょう」
『了解』『了解』……
私がインカムで指示を出した時、ようやくヴァレリーズさんが到着した。
「遅かったか!」
普段、綺麗に揃えている髪は乱れ息も荒い。
「遅くありません、これからです!」
ソニック君が慎重に
「UAV班、状況を教えて。レールガンの射線上に人はいる?」
UAV班が画像を確認する。
『射線上、人はいません。先ほど全員退避しました』
よかった。
「ソニック君、攻撃ポイントに着いたら教えてください」
『了解』
私たちを乗せた四駆は、ソニック君と
『攻撃位置に付きました』
「了解。ソニック君は、射撃準備。ヴァレリーズさんは、
『了解』
「心得た」
『照準合わせ、ヨシ!』
『弾倉装填、ヨシ!』
『キャパシタ充電、ヨシ!』
『発射準備完了しました、いつでも行けます』
インカムから報告が聞こえた。私の中には、まだ迷いがある。知性があるという生物を、交渉もせずに攻撃していいものだろうか? でも、このままだったら、被害は大きくなるばかりだ。私は、迷いを振り切って、命令を下した。
「ソニック君、レールガンの使用を許可します!」
私の許可を受けて、上岡一佐が指示を飛ばす。
「三点射五連で射撃開始!」
上岡一佐が叫ぶと、ソニック君に備え付けられたリニアレールガンから、弾が次々と撃ち出される。弾が途中で音速を超えるため、連続したソニックブームがここまで届いた。そして、合計十五発の弾は、
ギャァァァァァウゥゥ!
苦悶の叫び声を上げた
ガァァッ!
新しい敵と認識したのか、短く吠えると私たちに向かって脚を踏み出した。ゆっくりと翼をはためかせている。
「飛ばせてはだめ! 翼を狙って撃って!」
「
ソニック君に乗った射撃手がトリガーを引くと、レールガンから三発発射される。トリガーを戻しまた引けば、さらに三発。前例のないレールガンの運用、そもそも試作品であるためどのような攻撃方法が有効なのか、事前に上岡一佐と話合った。全弾を撃ち込むのはナンセンスだ。熱の放出なども考え合わせて、三発ずつ打ち込むことにした。
再び、三発×五回、レールガンから必殺の弾が撃ち出される。レールガンの弾は
冷静に考えれば、あの身体を浮遊させるなら、もっと大きな翼が必要になるはずだ。しかし、大きい翼は重い。したがって、どんなに翼が大きくても飛ぶことはできないだろう。それでも実際に
歓声が上がる。でも、
「油断するな! バッテリーチェック! レーザーも準備しろ!」
遠征に持ってきた、もうひとつの秘密兵器。可搬型光学砲――二人一組で操作するレーザー砲だ。四駆に搭載した予備バッテリーで稼働する。ただ、光学兵器は通用するかどうか、今はまだわからない。
準備を進めていたのは、私たちだけではなかったようだ。低いうなり声を上げていた
「黒い……
誰かの呟きが聞こえた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます