第4話 キス、キス、キス

「・・・ぁああ~~っ」

 その瞬間、マイは飛び起きていた。

 だがそこは、今の今までいたはずの、あの少女がハーケリュオンと呼んでいたギアのコックピットの中ではなかった。

 彼女がいたのは、白い壁に囲まれた殺風景な部屋だった。

 何故?どうして自分がここに居るのかが理解出来ず辺りを見渡す。

 そして彼女は、自分が厚めのタオルケットを掛けられ、医療用のベッドに寝かされていることに気付いた。

 それを見て、マイは自分が病室にいることを悟った。

 ‶気がつきましたね。ここは、ガリレオ内の病院です。ただいまナースコールをしています。看護師がまいりますのでしばらくお待ちください″

 マイの意識が回復したことを天井のカメラが感知したらしい。

 スピーカーから流れる音声を聞きながら、彼女は‶どこまでが現実でどこからが夢だったのか?″と考えていた。

 両腕の切り刻まれた傷は跡形もなく消えていた。

 踏み潰され、粉砕骨折したであろう右腕もなんともない。

 マイは恐る恐る生地の上からお腹と腰を触ってから、寝間着の胸元を引っ張り、胸越しに腹部をみた。

 そして、少しお尻を浮かせてワンピースの真っ白な寝間着を胸元までたくし上げ、みぞおちを見た。

 腹部を貫いた傷は、ほんのわずかな傷跡を残すのみとなっていた。

 そしてそれが、ガリレオがブロッケンの襲撃を受けたことが夢でなかったことを証明していた。

 あの2人は無事だろうか?

 マイはふと、あの母子のことを思い出した。

 そして、そう思った瞬間。

 2人と自分を助けてくれた少女のことが頭の中で甦り、彼女は、思わず指で唇を触っていた。

 顔がみるみる赤くなり、耳まで火照っていく。

「・・・あれも、・・・夢じゃなかったんだ」

 そう言いながら、身体を支えるためにベッドに左手を置いた。

 ‶むにゅ″

 無意識に体重を掛けた手のひらを、押し返さんばかりの張りと弾力。

「?」

 左手の先を見ると、はだけたタオルケットの下に、飼い主に甘える子猫のように自分に身体を密着させ、こちらを見つめる少女の姿があった。

「!」

 マイはその姿に見覚えがあった。

 それは、ついさっき、あの母子と自分を助けてくれた赤い瞳の少女だった。

 しかもタオルケットの下の少女は全裸で、マイの左手は彼女の胸を鷲掴みにしていたのだ。

「!!」

「おはよう、ハニ~」

 ハトが豆鉄砲を食らったような表情のマイを置き去りにしたまま、少女はそう言いながら元気一杯に起き上がると、マイの首に腕を回してキスしていた。

「!」

 ‶バタンっ″

「マイっ、意識が戻ったの・・・」

 そして、2人がキスしたのと、ドアが開き病室にアンナが飛び込んで来たのがほぼ同時だった。

「・・・」

 その瞬間、時間が止まった(笑)

「・・・ちょ、ちょっとあなた誰?、マイになにしてんの?」

「おはようのキス」

「な、なんですって~」

 あまりに平然とそう答えた少女の態度が、アンナは怒りに火を付けていた。

 すぐさま2人の間に割って入り、引き離そうとする。

「とにかく離れなさいよ」

 だが、少女は余裕の表情を見せる。

「ムリ」

「え?」

「だって私とハニーはエンゲージして身も心もひとつになったから」

 そう言って、超嬉しそうに彼女が差し出した左手薬指には、赤い小さな宝石が埋め込まれ、金の装飾が施された黒い指輪ははまっていた。

「ね、ハニぃ」

 マイを見てにこっと笑う。

「???」

 その言葉に促されるようにマイは自分の左手薬指をみた。

 するとには、目の前の少女のものと同じデザインの指輪がはまっていた。

「???・・・な、な、なんじゃこりゃ~~」

「もう、ハニーったら忘れたの?ハーケリュオンの中でエンゲージしたの・・・」

「エンゲージ?」

「ハニーの全身の傷もハーケリュオンが加護の光りで治してくれたんだよ。その指輪はエンゲージの証し」

「・・・てことは、・・・この指輪は、・・もしかして、え、エンゲージリングぅ???」

「あなた、その‶ハーなんたら″の中でマイに何したの?」

「キス」

 アンナの問いかけに照れながら答える少女。

「き、き、き、きすぅ」

 動揺しまくりのアンナの言葉が、更にマイに追い討ちをかける。

「やっぱり夢じゃなかったんだ。・・・ファーストキスだったのに」

 耳まで真っ赤になった顔を両手で覆うマイ。

「あなた、マイになんてことを・・・」

「ダイジョウブ」

「なにが?大切なファーストキスを無理矢理奪われて大丈夫なワケないでしょう。

 あなたも女の子ならそれぐらい・・・」

「私も初めてだったから」

「え?」

「それに」

「それに、なに?」

「したのはキスだけじゃないよ」

 そう言いながら、頬を微かに赤く染め、少女。

「え?え?えぇ~~っ!!マイっ、その指輪捨てて。私がもっといいのプレゼントするから」

「え?」

 思いもよらなかったアンナの一言に、マイは驚きの声をあげた。

「あ、いや・その、・・・もう。いいからはずしなって」

 アンナが大慌てでマイの指から指輪を抜こうとする。

「やめといたら」

「なにを言って・・・」

 そこまで言ってアンナは言葉を失った。

 少女が、全てを射抜くような、氷のような眼差しで自分を見つめていたからだ。

「それをはずしたらハニーは死ぬよ」

「は?何を言って・・・」

「じゃあ、やってみれば。ニンゲンに、ううん、例えそれが神だったとしてもを外せるワケがないけど・・・」

「2人とも、止めなさい」

 その声が聞こえた方を見ると、ドアのところに制服に身を包んだ女性が立っていた。

「サンドラ司令」

 そう。そこにいたのは、全てのギア部隊を統括する司令官、サンドラだった。

「マイ・スズシロ。意識が回復したみたいね」

「はい」

「医師からの許可も得ています。現時点をもって退院し、部隊への復帰を命じます」

「はい」

「本当なら休暇をあげたいのだけれど、緊急事態なの。他のチーム36のメンバーと共に2時間後ブリーフィングルームに集合すること。いいわね?」

「はい」

 そしてサンドラはマイから少女に視線を移した。

「こんな所にいたのね。ダメでしょ。ここは病室よ」

「だってハニーが・・・」

「だってじゃありません。あなたは私と一緒にいらっしゃい」

「え~、ハニーと一緒にいたい」

「ワガママ言わない」

「は~い」

 少女はしぶしぶ返事すると、ベッドから降り立ち、サンドラの方へスタスタと歩いて行く。

「ちょ、ちょっと何してるの?そのまま外の出る気?服を着なさい」

「あ?」

 少女はサンドラに言われて自分が全裸なことに気付いた。

「誰か彼女に着るものを、寝間着でいいから持ってきてあげて」

「はい」

 サンドラに言われ、看護師の女性が慌てた様子で何処かへ駆けていく。

 だが、その時すでに、少女はマイの前に立っていた。

「ハニー、バンザイして」

「え?」

「いいから早く」

「・・・えっと、じゃあ」

 とマイが両手を上にあげた瞬間。

 少女はマイの寝間着の裾をつかみ、一気に引っ張り上げていた。

「!!」

 元々治療時に脱がすため、意識がない患者さんでも脱がしやすくすることを前提に作られた、貫頭衣のような寝間着は、上に引っ張られただけであっけなく脱がされていた。

 その勢いで上に反りあがった身体が下がり、その反動で、露わになったマイの大きすぎない程よい巨乳がぷるるんと揺れる。

 当然ながら、彼女は治療時に邪魔になる下着類は一切身に着けておらず、寝間着の下は全裸だった。

「きゃ~~~~~~~~っ」

 慌てて両手で胸を隠すマイ。

「あなた何をして・・・」

 それを見て驚きの声をあげるアンナ。

 だが、少女は平然とマイから奪った寝間着を着ていた。

 寝間着の胸元を引っ張り、鼻を近付けて‶くんくん″する。

「ハニーのにおいがする」

「何を言って・・・」

 思わず言葉を失うアンナ。

 対するマイは、頭から湯気が出るほど真っ赤になって少女を見つめていた。

「ハニー、これ借りるね」

 呆然と見つめる2人に、少女はニコっと微笑みかけると、小さく手を振りながらサンドラに続いて病室を出ていった。




 頭上からお湯が雨のように降り注ぎ、視界を遮るように湯気が沸き立つ。

 そこは大浴場の、幾つも並ぶシャワーの1つ1つをパーテーションで仕切って作られた簡易のシャワールームだった。

 その狭い空間で、思いっ切りシャワーを浴びる人影が見える。

「ふぅ、生き返る」

 それはマイだった。

 彼女は久しぶりにシャワーを浴びていた。

 鼻歌を口ずさみながら、ボディーソープを泡立たせたスポンジで身体中をごしごししていく。

 そして、スポンジを持つ右手が、左手の指先で止まった。

 マイの視線の先には、左手薬指にはまる指輪があった。

「・・・」

「ハニ~」

「!」

 じっと指輪を見ていた、その時だった。

 突然頭上から聞こえたその声に、思わず顔をあげると、パーテーションの上からあの少女がこちらを見ていた。

 そんなばかな!!とマイは思った。

 シャワールームに入った時、自分以外にシャワーを使っている人はいなかったし、後から誰かが入って来た気配もなかった。

 何より、シャワールームの前には、頼んでもいないのにアンナが見張り役を買って出て陣取っている。

 もちろん、少女の侵入を阻止するために、だ。

 が、彼女がそんなことを考えるより早く、少女はマイの目の前にするりと降り立っていた。

 もちろん全裸で。

「ハニー」

 満面の笑みを浮かべる少女の顔が、唇が、シャワーに濡れながら近付いてくる。

 マイは思わず両手で顔をガードしようとするが、その指に少女が自分の指を絡ませ、恋人つなぎになった手を力ずくで組み伏し、下におろして抑え込む。

 そして少女は、泡まるけのマイの身体に自分の身体を密着させて、壁に押し付けていた。

 大きな胸と胸が押し付け合わされ、押しつぶそうとする互いを、互いが弾力で押し返そうとしてに弾み、その中に埋もれた、つんと尖る桜色の小さな突起同士がこりこりとこすれ合う。

 狭い密室内に逃げ場などあるはずもなく、マイは背中を壁に押し付けられ、キスされていた。

 唇が離れる。

「・・・な、なんの用?」

 最初に口を開いたのはマイだった。

「ハニーともっと話しがしたい」

「話?」

「うん。さっきは邪魔が入ってゆっくり話しが出来なかったから。だから追いかけて来た」

「それなら・・・」

 何か言いかけたマイの唇を少女の唇が再び塞ぐ。

 そして、また離れた。

「ハニーの名前、マイ・スズシロっていうんだね。いい名前」

「あ、ありがとう。あなたの名前は?」

「私?私の名前はツルギ」

「ツルギ」

「うん。さっき決めたんだ」

「さっき決めた?」

「サンドラが私に、皆を守る盾になれって言うんだけど、盾じゃ敵は倒せない。

 だから私は、盾じゃなく刃になりたかった。

 でも、1人じゃ盾にすらなれなかった。

 けど、ハニーのおかげで刃になれた。

 だから、私の名前はツルギ。

 でも、このことはまだ誰にも、サンドラにも言ってないよ。一番最初にハニーに知らせたかったんだ。だから追いかけて来た」

 そう言いながら三度みたび重なる唇。

 キスをしていて口が塞がっているうえ、シャワーが流れ込むため鼻でも息が出来ず、苦しさにマイが口を開けると、ツルギの舌が口の中に入ってきた。

「!!」

 ツルギの舌がマイの舌に絡まり、まるで別の生き物のように口の中で蠢く。

「・・・う・・うん」

 マイは声を出すことも出来ず、ただツルギを受け入れることしか出来ない。

 降り注ぐお湯が、押し返し合う2つの双丘の谷間に溜まり、それがぷるぷると揺れ弾むたびに、表面張力の限界を越え溢れ落ちる。

 こぼれたお湯は、ふくよかな丸みを伝い、くっつき合う鍛え上げられた腹筋からおへそを介して下腹部へ、そして絡み合う脚を伝って下へと滴り落ちていく。

 「んんっ」

 シャワーを浴びながらキスをし、更には舌を絡め合っているため息ができないマイは、彼女から身体を引き離すために正面の壁を蹴ろと右脚を上げた。

 するとツルギはそれを阻止するために、左脚を上げマイの右脚を下から持ち上げるように下半身を潜り込ませた。

 その結果、真ん中を縦に走るスリットを中心に左右に微かに膨らむ、ほんのりと桜色に染まる〝つるつる"の双丘や、その頂点で〝ぷくっ″と膨らむ種皮、そしてスリットの切れ込みから〝ちょこん″と顔を覗かせる可憐な花びらが密着する格好になっていた。

 「あんっ」

 そうなることで普段は閉じている双丘がよじれるように動き、その奥で密やかに閉じていた花びら同士が〝ぬちゅ"と擦れ合う。

 「んんっ」

 その、痛いようなくすぐったいような、それでいて少し〝ぞくっ″とするような初めての感覚に、マイは思わず腰を引こうとしたが、ツルギがそれをがっちり掴んで押さえると、壁に突いた脚でマイの脚を持ち上げたまま、流れ落ちるボディーソープが溜まり泡々になって密着するを擦り合わせるように腰を動かし始めた。

 「あぁん」

 普段は肉丘に守られている敏感な粘膜同士が〝ぬるぬる″にまみれながら擦れ合う。

 「ふぁ、あぁはん」

 からが火花のように弾け、そのあまりの気持ちよさに膝の力が抜け崩れ落ちそうになる。

 が、ツルギがそれを許さず、パーテーションがあるため退くことも叶わないマイに更に腰を密着させ蠢かしていく。

 「はぁん、やん、あん」

ボディーソープにまみれて密着するから〝ぬちゅぬちゅ″と擦れ合う淫靡な音のハーモニーだけがシャワールームに響き渡る。

 「はぁんっ」

 そして、花びらの頂点で種皮から〝ちょこん″と顔を覗かせる真っ赤な真珠みたいに充血して〝ぷくっ″と膨らむ2人の新芽が偶然重なり合うように擦れた。

「ひゃん」

「んんっ」

その瞬間、からプラズマのように弾けたが背骨を伝って脳天へと駆け抜け、あまりの気持ちよさに2人は膝の力が抜け腰がガクガク震えていた。

「んあぁっ」

 バランスが崩れそうになるぐらい震えるマイの上半身を支えるように、ツルギは元々密着させていた、果肉のたっぷり詰まった豊潤に実る果実のような2つの膨らみを、マイの膨らみに更に圧しつけていた。

 ボディーソープの泡にまみれた4つの膨らみが、互いに圧し潰し合いながら〝ぬるぬる″にぬめり、その若々しい張りと弾力で互いを弾き返さんと〝たわわ″に弾む。

 その度に、頂点で〝つん″と上向く桜色のちっちゃな蕾同士も、埋もれる膨らみに圧し潰されながら〝にゅぷにゅぷ″と擦れ合う。

 「やん」

 ツルギはその感触を楽しむかのように、今度はマイのお尻を掴むと、互いのが更に深く密着するよう角度を調整しながら腰を蠢かし始めた。

「ひゃん、だめ、ツルギ、そんなことされたら、ぁあん」

 真っ赤に充血し痛いぐらい〝つんつん″に尖る2人のが、〝こりこり″と互いを圧し潰し合うよう擦れ合う。

「あん、ハニぃ、そこ、くふぅ」

本来なら、最も敏感な同士が剝き出しのまま擦れ合うのは刺激が強く、痛く感じる場合があるのだが、ボディーソープのに〝ぬるぬる″にまみれているため、互いがたがいを圧し潰し合いながらも〝ぷにゅぷにゅ″と弾けるように逃げてしまう。

 ツルギはその感触を楽しむかのように、を密着させたまま緩急と強弱を使い分けながら腰を蠢かしていく。

 「あん、やん、あぁあん」

2人はいつしかに溜まったボディーソープを泡立たせるほどに互いの肉丘を擦れ合わせていた。

 〝ぬるぬる″に濡れてかり蝶の羽根のように広がる互いの花びら同士が〝ぐちゅぐちゅ″に絡み合い、その奥で〝ひくっ、ひくっ″といやらしくヒクつきながら蜜液を滲ませる湧泉口同士もキスするかのように擦れ合わさりながら〝ぬちゅぬちゅ″に蠢き重なり合う。

「んあぁ、だめぇ、こんなのだめだったら、やん、だめ、もうだめ」

「ハニぃ、イキそうなの?」

 ‶バンっ″

 その時、シャワールームのドアが勢いよく開いた。

「マイっ、大丈夫?」

 そこに立っていたのはアンナだった。

「!!あなた、そこで何してるの?」

「私に力を与えてくれたお礼だよ」

 そう言うと、ツルギはびしょ濡れのままジャンプし、幅が2センチあるかないかのパーテーションの上に、シャワールームをまたぐ格好で立っていた。

「じゃあねハニー、また後でね」

 そう言いながら笑顔で手を振ると、ツルギは全裸のままパーテーションの上を軽快に走り、天井に開いた穴の中にジャンプして消えていた。

 それは、金属製のカバーが外され剥き出しになった換気口の穴だった。

「あんな所から・・・。もう、なんてヤツなの」

 半分呆れたようにそう話すアンナの目の前で、マイが崩れ落ちるようにその場にへたり込む。

「マイ、大丈夫?」

 服が濡れるのもお構いなしに、アンナはマイに駆け寄った。

「あんまり遅いから貧血でも起こしてるんじゃないかって様子見に来たの。

 本当によかった。ねぇ、大丈夫?返事して」

「・・・うん。ありがとう」

「何もされてない?」

「・・・うん」

「もう。あいつ絶対に許さない。立てる?」

 ちょっと無理」

「え?」

「膝に力が入らない。腰も抜けちゃったみたい」

 全然大丈夫じゃないよ。救急呼ぼう」

「・・・そんなに心配しないで、大丈夫だから」

「・・・でも」

「あの子が怖くて腰が抜けたんじゃないから・・・」

「え?じゃあ、なんで?」

 困惑するアンナ。

 だが、その視線の先のマイも、戸惑いと恥じらいが入り混じったような、自分でもそれをどう受け止めていいのか分からないという困惑の表情をしていた。

 そして、顔を耳まで真っ赤にして、自らの唇に指でそっと触れていた。

「あの子、刃になりたかったんだ。・・・私と同じ」

 マイは小さな声でそう呟いていた。

 だが、その声はシャワーに掻き消され、アンナの耳には届いていなかった。



                            〈つづく〉


































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