第18話「龍の士」
たけぞう一行は法眼に教えられた場所へ向かっていた。
「しかし目的地にいる方ってどんな方なんだ?」
彦右衛門が言うと、
「法眼様は頭が良くて何でも知ってる人って言ってたよ」
たけぞうが答えた。
「そうですか。しかしそのような方なら拙者の耳にも入ってそうですが、やはり妖怪なのでしょうか」
三郎は腕を組みながら言った。
「まあ、会えばわかるだろ」
「ふう、この服ちょっと動きづらいです」
今のジャンヌは着物を着ていた。鎧姿では目立ち過ぎるから。
そして鎧は持ち運びし易いようにと法眼が妖力で小さくして巾着袋に入れ、それをジャンヌに持たせていた。
「でもそれ似合ってるよ」
「そうですよね、とてもお綺麗ですよ」
「うむ、全くだ」
たけぞう、三郎、彦右衛門がそう言った。
「そうですか、ふふ」
ジャンヌは嬉しそうに笑った。
やがて目的地、とある山奥の廃寺に着いた。
「ここにいるのか、その方は」
「そのようですね、中に入ってみますか」
一行は寺の本堂に入ってみた。
中はところどころ傷んでいるが、埃などは落ちていなかった。
「やはり誰かが住んでおられるようですね」
「そうだな、綺麗に掃除されている」
三郎と彦右衛門がそう言った。
「すみませーん、誰かいますかー?」
たけぞうが大声で言うと
「はい~、待ってたわよ~」
奥の方から女性が出てきた。
その女性は可愛らしい顔つきで眼鏡をかけており
被衣を被っていて紫色の着物を着ていた。
そして胸がやたらでかかった。
「あの、あなたがもしや」
三郎が女性に尋ねた。
「ええ、私がそうよ。岡崎三郎さん、そして池免武蔵さん、石見彦右衛門さん、ジャンヌ・ダルクさん」
「!?」
一行は驚いて女性を見つめた。
「あら、ごめんなさいね驚かせちゃって」
女性が笑いながら謝る。
「あの、何故拙者達の事が?」
彦右衛門が尋ねると
「私はこの世のいろいろな事がわかるのよ。あなた達が強者を探している事もね」
「そ、そうなのですか、で、他の強者はどこに」
「とりあえず一人はここにいるわよ。さ、出てきて」
女性がそう言うと奥から長い黒髪で長着と袴を着ており、手に槍を持った美形の男が出てきた。
「お、強そう……あれ、何だろ?」
たけぞうは彼を見て首を傾げながら呟いた。
「あの、失礼ですがあなたはこの国の方ではありませんよね?」
三郎も何か感じたらしくその男に尋ねた。
「ああ、私はまあ、遠い国から来たのだ」
男はそう答えた。
「やはり。何か顔立ちやその、雰囲気がこの国の者とは違うと」
「まあそれはおいおいと話させてもらう。ああ私は、そうだな……
その男、本多龍之介は何か考えながら名乗った。
「もしかしてその名前、今考えたんじゃ?」
疑問に思ったたけぞうが突っ込んだ。
「ああそうだ。しばらくはこの国の者としてやっていきたいので、名前もそれに合わせたのだ」
「そうなの、じゃあ本当の名前は?」
「リンドブルムだ。これは龍という意味でもある」
「なるほど。それで龍之介、ね」
「わかりました。龍之介殿、よろしくお願いします」
三郎がそう言って頭を下げた。
「ああ、こちらこそ」
「さ、皆座ってお茶でも飲んで。残りの人がどこにいるか教えてあげるから」
女性がそう言った。
「それはどうも。そうだ、お名前を伺ってませんでした」
三郎がそう言うと
「ああ、私は
その女性、文車妖妃が名乗った。
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