第4話「剣を学ぶ」
「うーん、だいぶこの体に馴染んできたな」
たけぞう(以降はこう書く)は徐々に人間の体に慣れてきたようだ。
「これなら思ったより早く着きそうだな」
そして京の都に着いた。
道を歩けば多くの人が行き交っている。
両脇を見ると珍しい物が売られている店。
御所や二条城、古くからある神社仏閣。
どれもこれもたけぞうにとっては新鮮なものであった。
その後たけぞうは鞍馬山まで行き、寺でお参りしていると
「もし」
後ろから誰かが声をかけてきた。
「ん? おれ?」
たけぞうが振り返ってみるとそこにいたのは長髪で修験者風の服を着た男だった。
「そう、お主だ」
「何か用?」
「いや、お主から出ている気は並の人間のものではないので気になったのだ」
「そうなの? おれってそんな気出てる?」
「ああ、出てるとも。ところでよければ団子でも食べながら話を聞かせてくれないか?」
「うん、いいよ」
たけぞうと男は近くの茶店に入った。
「なるほどのう、河童の力を封印して人間にか」
「うん、あの法師さんのおかげだよ」
「そうか(さすが蘆屋道満だな)ところでな、わしはお主には剣の才能があるような気がするのだ」
「え、そうかなあ?」
「うむ、お主からはかつてのあの男と同じものを感じるのだ」
「あの男って?」
「わしが昔剣の手解きをした男だ。その男は後にかなりの使い手となった」
「へー」
「わしはお主にも手解きしたくなった。どうだろうか? 無理にとは言わないが」
「そうだなあ。やってみるよ」
「おお。そうか」
「でもおれ今まで剣持ったことないよ」
「ではまずそこからだな。さ、行くとしよう」
「あの、おれは池免武蔵っていうんだけど、あんたは?」
「わしの事は
こうしてたけぞうは法眼に連れられて山奥へと入っていき、早速修行を始めた。
初めのうち、たけぞうは力はあるものの動きがぎこちなかった。
だが数日もすると
「も、もう基本は完璧だ」
法眼はたけぞうの上達ぶりにただ驚いていた。
「うん、おれも驚いてるよ」
たけぞうもまさか自分がこれほどだったとは思っていなかった。
「ふむ、これならもう数日もすると教える事がなくなるな」
「え? でもおれ型とか奥義を教わってないよ?」
「お主の場合、あの男もそうだったがな、変にわしの型にはめるよりは基礎だけ教えて、あとは自由にした方がいいだろう」
「そんなもん?」
「ああ、流儀はお主がいつか自分で作るなりすればいい」
そしてまた何日か過ぎて
「よし。今日で修行は終わりだ。よく頑張ってくれたな」
法眼は笑みを浮かべ、たけぞうを褒めた。
「ええ。法眼様、いろいろありがとうございました」
たけぞうは頭を下げて礼を言った。
「いや、元々はわしの我儘じゃ、礼には及ばぬ」
「はい。ではおれはこれで」
「うむ、達者でな」
たけぞうは法眼に別れを告げ、山を降りて行った。
「ふう、さて」
法眼の周りにドロンと煙が立ち込める。
そしてその煙が晴れた時……そこにいたのは天狗だった。
「あの男、もしかすると牛若丸以上かもな……ふふ、この
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