2ページ
「ホットで良かったですか? アイスもすぐに作れますけれど」
「いえ、今夜は少し肌寒いのでホットでお願いします」
「え、熊谷さん、半袖ですけど」
「寒いのは意外と我慢できる体質なんです」
どんな体質なのそれ。
「ホットコーヒーもカクテルになるんですね」
「えぇ、そうです。リキュールを少し足して飲むと温まるし、美味しいですよ。アルコール度数も低いし」
少し多めにお湯を作っておいて良かった。熊谷さんにはホットコーヒー、自分のにはアマレットを少し混ぜた。
「それで、どうしてあんなところに居たんですか? っていうか、いつから居たんですか?」
熊谷さんが言っていたように今夜は夜まで降っていた雨のせいで肌寒い。少なく見積もっても四時間は店を閉めてから時間が経っているはず。一体どれくらい外に居たんだ。
「いや、まぁ、そんなに長くは居ていませんよ。多分、二時間くらい」
「二時間っ!?」
良く通報されなかったな! マジで!
「あ、でもウロウロしていたんで。ずっとお店の前に居たわけじゃ」
それはそれで怪しいわ!
「すみません。どうしても花菱さんとお話ししたくて・・・」
スツールに収まりきらない位の身体をまた小さく丸めて言う。良いって良いって、話しくらいどれだけでも聞いてあげるよ。乗りかかった船、だしね。
「何があったんです? 彼女、とのことですか?」
恋愛ビギナーの熊谷さんの片思い相手の彼女、その子はうちの常連さんで、そして俺は熊谷さんの恋愛相談相手ってわけ。
以前彼女がうちに来た時は熊谷さんプレゼントしたクマのラテアートの写真を嬉しそうに見せてくれたけど?
「はい、その、彼女のことで」
「何か進展があったんですか?」
つい先日彼女が来た時は特に何も言っていなかったけれど。俺の知らないところで話が進んでいたっておかしくないもんな。
「まぁ、進んだって意味では進展があったのかもしれません」
「どういうことです?」
「実は・・・」
ごくん、と音を鳴らして適温に冷めたコーヒーを飲み込んでから、熊谷さんは口を開いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます