隙だらけな主人公だが隙のない展開に目が吸い込まれる

ああ、面白いです!!!!
夢と現の境界線。そこに佇む中年は、時に泥臭く、時に冴えた戦いを繰り広げる。頭に映し出されるのは無様に転げ回る中年です。だがしかし、彼の心は案外強い。私であればなかなか適合出来ぬであろう現実に(おそるおそるではあるが)向き合い、自分の限界を過信せず己の道を違わず力強く踏みしめる。鮮明に想像させる巧みな文の中に、彼の「強い」部分を意地でも見つけたくなりました。この世界に必死で食らいつく主人公の姿は美しくさえ感じます。久方ぶりにいい作品を見つけることが出来て、大変満足です。
筆者をこれからも応援していきたいです。